PROJECT HISTORY

マンション建替え事業の実際に迫り、
その意義を紐解く。

デベロッパーの担当者と設計担当者、
そして不動産ジャーナリストを交え、
本プロジェクト始動の経緯やデザイン計画、
建替え事業の重要性などについて、
話し合っていただきました。

野中:今回のプロジェクトがどのようして実現に至ったのかを教えてください。

垣本: まず、弊社が本プロジェクトに携わるに至った経緯から説明します。1971年に建てられた「マンション京都白金台」が耐震性不足や老朽化が進んだことで、 管理組合理事会によって建替えを検討することになりました。この建替え検討を進めるにあたっては事業協力を行うデベロッパーが必要だということで、 デベロッパー8社に声がかけられ、各社が事業提案を行い、最終的に弊社を事業協力者に選定いただきました。 うれしいことに、同マンション建替組合理事の方は「プレゼンテーションがとても良かった。 担当者が資料に視線を落とすことなく、私たちの顔を見て説明してくださった。住民の意向をしっかり聞いてくれそうだと感じました」と評価いただいたと聞いています。 この建替計画を進める中では多くの課題をクリアする必要がありました。 少しご紹介すると、目黒通りの拡幅によりセットバックが必要となり、敷地面積が約116㎡減少しました。 さらに用途地域も変更され、本敷地の容積率が減少しました。このため、同マンションは既存不適格建物であるため、一般設計で建替えると、総専有面積が約150㎡も減少することとなりました。

しかし、管理組合理事の方々は諦めず、弊社も協力させていただき、「港区マンション建替容積率許可制度」を活用しました。 許可が下りれば、一般設計と比べて容積率は約116%アップし、総専有面積も約1170㎡の増加が見込めます。 ただし、港区の許可を受けるには、耐震不足による「要除却認定」を取得することと、公開空地を設けて周辺地域に貢献するという要件がありました。 その後、港区と公開空地について協議を重ね、住民の皆さんには説明会や個別面談を行って説明し、要件をクリアすることができました。 もう一つの課題は、同マンションの立つ地区は、港区「絶対高さ制限を定める高度地区」により、建物高さ制限が40mと定められており、 これでは容積率が緩和されても十分に活かせません。そこで、老朽化マンションを建替える場合の特例を用いて60m超の許可を取るべく、港区と協議を重ねました。 でも、それは非常に困難な取組みだとわかったので、別の方法を考えることにしました。 区とも協議の上で、絶対高さ制限の緩和特例の適用を目指すことにしたんです。この特例は2020年9月までに建替え決議を可決し、申請を行うことが条件だったので、 短期間での合意形成が不可欠でした。管理組合理事会と弊社は一致団結し、個別面談を重ね、 8月に建替え決議が可決し、期限までに特例を申請することができました。

  • 「マンション京都白金台」

  • 物件販売時の
    パンフレット

野中:建替え事業は数々の課題をクリアしていく必要があると私も認識していますが、 実際に携わられた方のお話をお伺いすると、本当に苦労されたことがよくわかります。 建替え事業は、所有者とデベロッパーで形成される組合と、そして容積率の緩和などを後押ししてくれる自治体、この3者が三位一体となって、 協議・合意形成・決定というプロセスを得なければ成り立たない事業ですから。
政府も建替え円滑法・敷地権売却制度など、さまざまな法整備を進めていますが、まだまだ軌道に乗るところまではいっていません。 多くの物件で、高い障壁となるのは、容積率の問題です。住宅地ですと、そう簡単には容積率を上げることは難しいと考えられます。 前面道路にある程度の幅員がある商業エリアの物件の方が建替えはしやすいと考えます。 しかしながら港区は、民有宅地の用途別内訳を見ると、商業地の面積の割合が都心三区の中で最も低い区となっています。 千代田区86.8%、中央区62.9%に対して、港区は32.4%です。 この点から、港区は都心三区の中で最も建替え事業においてハードルが高い区とも言えます。

現地周辺の街並み

野中:今回のマンションプロジェクトは建替え事業ですが、
計画を推進してよかったなと思われたできごとあれば教えていただきたいです。

垣本:マンションの権利者様から感謝の言葉を直接いただけたことは、とても光栄に思えました。 自分たちがやっていることが、誰かのためになるという手ごたえを感じることができたんです。 大きな資産であり、多くの人にとっては生活の基盤である“住まい”をどう再生するかを考えるマンション建替え事業は、今後の人生に大きな影響をおよぼすものです。 価値観や家族構成、ライフステージなどが異なる多くの方々との合意形成や、行政との協議といった検討プロセスは、長期間にわたり、 また課題も多いですが、理事の方を筆頭に、組合員の皆さまとともに一つ一つ解決しながら、今回建替えという合意形成に至れたことは大変うれしく思います。 特に、多くの時間をかけて検討を重ねてきた理事から、あなたがいてくれてよかったと言っていただけたときは、本当にうれしかったです。

野中:それはまさに建替え事業に携わられた方ならではの実感ですね。

航空写真(2023年5月撮影)

野中:計画地がどんな場所であるか、また貴社としてこの地をどう捉え、
どう思っていらっしゃるのかなどについてお話いただけますか。

垣本:今回の計画地の特性としては、山手線内側、駅至近、2駅複数路線利用可能、フラットアクセス、南側傾斜地で眺望や開放感を享受可能、しかも北側も公園が広がっていて眺望や開放感を享受できる稀有な立地だと言えます。
また、プラチナ通りやJR山手線「目黒」駅も徒歩圏にあり、スーパーなどの生活利便施設はもちろん、おしゃれなお店なども多く、都心ならではのアクティブな暮らしをおくることができます。一方、北側の公園は、緑が豊富で日々の暮らしに潤いを与えてくれます。このように利便性と自然環境の両方に恵まれた、得難い住宅適地と認識しています。

  • プラチナ通り
    (徒歩5分/約370m)

  • 国立科学博物館附属 自然教育園
    (徒歩3分/約200m)

※掲載のイメージイラストは本物件の立地状況を説明するための概念図であり、地形・距離・建物の大きさ・位置等実際とは異なります。道路・建物等は省略・簡略化しております。

野中:私も現地を訪れましたが、率直な感想としてはまず何と言っても、JR山手線「目黒」駅からほどよい距離で、しかも山手線の内側の東京メトロ南北線・都営三田線「白金台」駅からもわずか徒歩4分ということで、極めて利便性が高いこととブランド性を感じます。マンションの資産価値は、そのエリアの歴史、ブランドイメージなども付加価値として上積みされます。こうした一等地のマンションは希少性が高く、資産価値も落ちづらいと言えます。街を行き交う人々の光景からも、そのブランド性や優雅な街並みというイメージが感じられます。
また、本物件は目黒通り沿いに位置し、目黒通りには素敵なブティック、大型のスーパー、ほかでは見られないような洒落た看板の「ドン・キホーテ」、ヘアサロン、学習塾などが揃っており、ファミリー層にも人気があるエリアという感じがしました。
物件近くのバス停からは広尾・千駄ヶ谷・品川・麻布十番・日比谷などのエリアにもアクセスしやすいです。
それと、何と言っても本物件の北側は自然教育園があり、とても都心とは思えないほどの環境が目を引きました。そこにはかつて高松藩主松平家の下屋敷があり、その後は宮内庁の所轄となり、「白金御料地」と呼ばれました。
目の前には「庭園美術館」があります。この敷地は「旧朝香宮邸」であり、こうした邸宅のある由緒正しいエリアであることがわかります。駅に近いエリアをこのような大型の施設が占めているということは、今後のマンション供給も限定的になるということを裏づけています。

  • いなげや白金台店
    (徒歩1分/約60m)

  • プラチナ ドン・キホーテ白金台店
    (徒歩2分/約160m)

  • メガロス白金台
    (徒歩1分/約30m)

  • 東京大学医科学研究所附属病院
    (徒歩9分/約650m)

本物件は高台に位置していますので周辺の見晴らしもよく、また北側には自然教育園などが広がり、高層建築物が建設されることもありません。また、高台のため水害など自然災害にも強いと言えます。
物件の近くには有名なプラチナ通りがあり、そのエリアには多くの高級ブティックが建ち並び、おしゃれなカフェ、ランチ・ディナーを愉しめるイタリアンなどもあり、心豊かな生活ができる街というイメージがあります。
だれもが憧れるブランドイメージを有するエリアで、さらにハイエンドな街並みにも関わらず、昔ながらの下町風情の雰囲気も併せ持つ、暮らしやすい街並みとなっています。
また、スーパーも「いなげや」などの庶民的なものから「クイーンズ伊勢丹」「ピーコックストア」など高級志向の店も多いです。
ちょっと足を伸ばすと、「八芳園」もあり、春の桜から秋の紅葉など、春夏秋冬の季節の移ろいを感じることもできます。
周辺には明治学院大学、東京大学医科学研究所などもあり、アカデミックなイメージも併せ持っています。
今回の物件は、もともと人気と希少性があった「マンション京都白金台」の建替え事業ということで、現在の新築マンション業界では取得が極めて困難な立地と言えます。

野中:建替え事業の社会的な意義についてのお考えをお聞かせいただけますか。

垣本:マンション建替えの社会的意義は多岐にわたります。まず、老朽化したマンションを建替えることによって、お住いの方の生活再建が図られます。古い建物は耐震性や配管の劣化、設備の老朽化など、安全性や機能面で課題を抱えています。建替えによって新しいマンションが建てられることで、より安心できるお住いで快適に生活いただくことが可能です。
また、マンション建替えは住まわれていない所有者の経済的な再建にもつながります。建替えによってご自身の不動産資産の価値を向上させることができます。
さらに、マンション建替えは地域貢献にもつながります。建替えによって周辺の景観が改善されることで、地域全体の魅力が向上します。また、新しい建物は地震に強い構造となるため、災害時に倒壊して周囲に被害を及ぼすリスクを大幅に軽減します。
特に、日本では旧耐震マンションの件数が増えており、それらを新しい建物に建替える必要性が高まっています。例えば、全国では約103万戸の旧耐震マンションがあると報告されています。これらの建物が新しく、耐震性能の高い建物に建替えられれば、地権者だけでなく、地域全体への貢献となります。
こうした背景があり、国もマンション建替えを推進するための制度を整備しています。旧耐震マンションの建替えを進めるための法律改正や補助金制度が設けられており、これにより地権者の負担を軽減し、建替え事業を推進しています。
これらの要素が組み合わさることで、マンション建替え事業は大きな社会的意義を持つと言えます。地権者の生活向上、資産価値の保全、地域の安全性向上、さらには国の政策推進に対する協力など、多面的な観点からその価値が認識されています。このような背景から、今後もマンション建替え事業の重要性は増していくと考えています。

野中:現在、日本の不動産業界においては、建替え事業の件数はさほど多くないのが現状です。居住者の同意、資金計画、権利関係など、さまざまな高いハードルがその背景にあるからです。しかし、いくら立地がよくても、昨今のような気候変動、自然災害のリスクが高まる時代においては、現状に相応しい耐震性・耐火性、さらにセキュリティなどを建替えによって高めることが重要です。こうした点から、建替え事業は社会の安心・安全を担保する上においても大切な事業だと考えます。

野中:本物件のランドスケープについて教えていただけますか。

佐藤:エントランスやELVホールから外を見た時に、近景は建物前広場の緑、遠景は公園および自然教育園の緑が多層化した借景となるように計画しました。
建物のセットバックによって生み出された広場には、エントランスゲートを設けず、武蔵野台地を想起させる石マウンドを配することで、敷地の内外の緩やかな境界を創出しています。エントランス周りの動線を曲線状にすることで、柔らかい印象の風景を形成し、庭園をゆっくりと歩きながら四季を感じてもらえるよう演出しています。
また、エントランスアプローチにシンボルツリーとして配した高木は、高層建物特有のビル風を防ぐ役割も兼ねています。

佐藤:エントランスやELVホールから外を見た時に、近景は建物前広場の緑、遠景は公園および自然教育園の緑が多層化した借景となるように計画しました。

外観完成予想CG

建物のセットバックによって生み出された広場には、エントランスゲートを設けず、武蔵野台地を想起させる石マウンドを配することで、敷地の内外の緩やかな境界を創出しています。エントランス周りの動線を曲線状にすることで、柔らかい印象の風景を形成し、庭園をゆっくりと歩きながら四季を感じてもらえるよう演出しています。
また、エントランスアプローチにシンボルツリーとして配した高木は、高層建物特有のビル風を防ぐ役割も兼ねています。

外観完成予想CG

野中:外観デザインで目指したものと具体的なディテールについてお話いただけますか。

佐藤:外装はウォームグレーを中心とした爽やかな色調で構成することで、令和らしい新しさを感じられるデザインとし、旧世代の重厚な分譲マンションとの差別化を図りました。ファサードは、壁面に縦ラインを引き立たせるマリオンを設け、高層建物が少ない白金台において、タワー感のあるプロポーションが強調されるデザインとしています。
野中:行政における制度を利用した容積率緩和の恩恵を受ける物件として19階建を実現し、地域においても極めて目立つシンボル的な存在となると考えます。

エントランス完成予想CG

野中:エントランスホールの造作のデザインやラウンジの設えなど、
共用部のデザインについて教えてください。

佐藤:共用部の設計コンセプトは「URBAN NATURE」です。白金台の水、光、木々といった自然とインテリアとの調和を図り、人を温かく包み込むような空間とすることで、住まう方にとっての心地良さを提案しました。
エントランスホールは、吹き抜けを設けることで開放感のある空間とするほか、間接照明が作り出す柔らかな光や影によって木洩れ陽のような温かみと静寂さを感じて頂けるよう、照明計画にも配慮しています。
また、木立や木々の枝をモチーフとした壁面の装飾金物が引き立つよう、壁面仕上げはマットな大判タイルを採用し、できる限りシンプルなものにしました。ELVホールに向かう通路のドアには大理石を採用し、特別感とラグジュアリーな雰囲気を演出しています。
ラウンジエリアは、あえてエントランスホールの奥にレイアウトし、木目調の素材やマントルピース(暖炉)に見立てたオプジェなども配することで、人の往来を気にせずゆっくりと利用できる上質なゆとり空間となるよう工夫しています。

エントランスホール完成予想CG

エントランスラウンジ完成予想CG

野中:最後にお住まいになられる方へのメッセージをお願いします。

垣本:50年にわたり、あたたかな暮らしを守り続けた「マンション京都白金台」が、当社最高峰ブランド「ジオグランデ」を冠したマンションとして生まれ変わります。いままでがそうであったように、これからも、この地に住まう方が豊かな暮らしを紡いでいけるよう、想いをこめてお届けします。ぜひその目でお確かめください。

野中:マンション購入において大切な視点の一つとして物件の希少性・資産価値が極めて重要なファクターとなります。今回の物件は、東京都の面積のわずか3%ほどである山手線内側にあり、しかもブランドエリアである白金台に位置し、人気の港区においても希少性が際立っています。なおかつ、2つの駅が利用できる、いわゆるマルチアクセスが可能です。 また、東京メトロ南北線・都営三田線「白金台」駅からわずか4分の立地です。新規マンション供給数から見てみると、「白金台」駅から徒歩4圏内の物件は、過去5年間まったく供給されていません。つまり、駅に近いまとまった敷地面積を有する土地が、極めて希少性が高いということを示しています。

そんな地に建つ「マンション京都白金台」の建替え事業として始動したのが、今回のプロジェクトです。さまざまな課題をクリアしていかなければならない建替え事業ですが、耐震性や耐火性、防犯性を高めたマンションを誕生させ、周辺環境の保全に貢献するという点で、社会的な意義のある事業だと考えます。今回の建替え事業も、住まう方々により豊かで安心できる暮らしを提供するとともに、白金台というエリアの価値をも高めることとなるでしょう。今後は、今回のような建替え事業がよりいっそう推進され、社会貢献が進むことを願っています。