高気密・高断熱だからこそ気を付けたい、
冬のマンションの乾燥対策に欠かせない「湿度管理」の注意点とは?!
気象庁の統計によると、今から一世紀前の1925(大正14)年、東京の2月の「平均湿度」は64%でした。しかし、2025(令和7)年2月の東京の「平均湿度」は44%。この100年間のうちに東京の真冬の湿度は年々低下し、20%も低くなっていることがわかりました。これは都市化によりアスファルトやコンクリート面が増え、土や植物からの「水分蒸散」が減ったことや、気候変動による降水量の減少が影響しているものと考えられますが、加えて、建物の性能向上、暖房器具の使用頻度の増加など、現代流の暮らし方も「住環境の湿度低下」を招く原因となっているようです。特に、高気密・高断熱が特長となっているマンションの室内では、冬になると湿度が低下しやすく、乾燥を感じやすくなります。そこで今回のジオプラットでは、冬のマンションの乾燥対策に欠かせない《湿度管理の注意点》について解説します。
参考:気象庁 過去の気象データより
お部屋の最適湿度は40%~60%、これを下回ったら要注意!

私たちがふだん天気予報などで目にする「湿度」とは、「相対湿度=空気中に含まれる水蒸気の割合」のことを指します。ASHRAE(米国暖房冷凍空調学会)のデータによると、人が健康に過ごせる最適湿度は40%〜60%であり、湿度が40%を下回るとウイルスの活動が活発になることが報告されています。
湿度が低下した状態(空気中の水蒸気が減少した状態)では、水分蒸発によってウイルスの飛沫が軽くなり、空気中に長時間漂うことになるので、風邪やインフルエンザを予防するためにも各部屋に湿度計を配置し、40%~60%の「最適湿度」を保つようにしましょう。
■湿度40%を下回るとカラダにこんな症状が
・ウイルスやバクテリアの活動が活発になり飛沫感染リスクが高まる
・乾燥によって体に電気が溜まりやすくなり、静電気やホコリの付着が起こりやすくなる
・粘膜から水分が奪われ、目や喉が乾燥しやすくなる
・肌の潤い不足でバリア機能が低下し、かゆみ・ひび割れ・アトピーなどが起こりやすくなる
・乾燥による静電気の発生で、髪の毛がパサついたりまとまりにくくなる
■さらに最小湿度が25%を下回ると「火災」の危険度が高まる!
気象庁では「最小湿度=一日のうちで最も低い相対湿度」が25%以下になると「乾燥注意報」を発令し、火事や延焼が起こりやすくなるとして注意を呼びかけています(※一部地域除く)。マンションは建築基準法に基づき、主要構造部や仕上げ材に不燃性の防火材料を使っているため「火災に強い構造」にはなっていますが、ちょっとした不注意により室内でボヤ騒ぎが起これば、物件全体の資産価値低下につながりかねません。特に「低湿度状態」では、タバコの吸い殻やコンロの火花、静電気など、ほんの小さな火種が発火原因となるため、マンション区分所有者の責任として日ごろから「火の用心」と「湿度管理」を心がけましょう。
高気密・高断熱のマンションは「湿度低下=乾燥」を起こしやすい?
近年の新築マンションは、省エネ性能を高める目的で気密性・断熱性が向上しており「夏涼しく、冬暖かい居住空間」が特長となっています。しかし、その先進性能が室内の乾燥を招いてしまうこともあります。
ここで、まずおさらいしておきたいのは「温度と湿度の関係」について。室内の温度が上がると、空気を構成している分子の動きが活発になり、空気中に保持できる水蒸気の容量(飽和水蒸気量)が大きくなります。しかし、そもそも水蒸気が少ない冬の季節は、加湿器などを使って意図的に室内の水蒸気を増やさない限り、容量ばかりが大きくなるだけでその中身が空っぽに。つまり、容量に対して実際の水蒸気量の割合(相対湿度)が低下するため「空気が乾燥した」と感じるようになります。
特に、高気密・高断熱のマンションでは、室内を効率良く暖めて室温を保ちやすくなるぶん「容量だけが大きくなって水蒸気が足りない状況」が起こりやすくなります。そのため、お部屋の乾燥を防ぐためには「空気中の水蒸気を増やすこと=加湿をする工夫」が必要になるのです。
東京都が推進する暖房設定温度は17~22℃
東京都保健医療局の《健康・快適居住環境の指針》の中で身体に良いとされている暖房設定温度は17~22℃。“これはちょっと低すぎるのでは?”と思うかもしれませんが、実は「湿度が10%上がれば、体感温度が1度上がる」と言われており、暖房設定温度が低めでも適度に加湿をすれば、効率よく温もりを感じることができます。むしろ、室温上昇による飽和水蒸気量の増加を抑えることで空気の乾燥を防ぎ、省エネへの取組みや暖房費の節約にもつながります。
乾燥を防ぐにはマンション構造と相性の良い「輻射式暖房」がおすすめ
輻射式暖房とは、「床暖房」や「オイルヒーター」「ハロゲンヒーター」のように、ヒーターが発する放射熱によって床・壁・天井などお部屋全体を暖める暖房のこと。エアコンのような温風の出る暖房器具は、風が吹くことで空気中の水蒸気が蒸発しやすくなりますが、風の出ない輻射式暖房は空気の循環が少なく、湿度低下を防いで乾燥しにくくなります。また、高気密・高断熱のマンションなら隙間風が入りにくいため、放射熱が効率よく伝わり温度ムラを軽減できるほか、窓際やドアの入口付近に配置すれば開口部の温度差をブロックしやすくなり、暖房効率をより高めることができます。
最も効率の良い「加湿器の設置場所」は?逆に置いてはいけない場所は?
乾燥対策として加湿器を使用する時は、「部屋の中央」に置くようにするとお部屋全体に水蒸気が広がりやすくなり、加湿効率を高めます。また、水蒸気を含んだ重い空気は床面に溜まりやすくなるため、直接床に置くのではなく、テーブルやカウンターの上など床よりも高い場所に設置すると良いでしょう。
逆に、絶対に加湿器を置いてはいけないのは「窓際」。窓は室内で最も外気の影響を受けやすいため、加湿器のミストが窓に当たり、外気の影響で急激に冷やされると、飽和水蒸気量の低下によって「結露」を起こす可能性があります。
※ただし、加湿器本体の大きさや性能によって最適な設置場所は異なるため、取扱説明書をご確認ください。
加湿器が無くても大丈夫!家にあるモノを使って手軽にできる5つの「乾燥対策」

自宅に加湿器が無い場合は、次のような方法で乾燥対策を行ってみてはいかがでしょうか?
①洗濯物や濡れタオルの室内干し
部屋干しをすると洗濯物の水分が蒸発することで、一定の加湿効果が期待できると言われています。 冬の部屋干しは乾燥機の電気代節約にもなるためおすすめです。
②観葉植物への水やり・霧吹き
観葉植物の葉や茎には気孔と呼ばれる小さな穴があり、根から吸い上げた水分を水蒸気として放出する「蒸散」を行っています。この蒸散が天然の加湿器代わりになるため、冬場はこまめに観葉植物への水やりを行いましょう。また、霧吹きを使って 直接葉や茎へ水を吹きかける「葉水」を行えば蒸散を促す効果につながります。
③鍋ややかんでお湯を沸かす
鍋ややかんでお湯を沸かす場合、立ち上がる湯気によって加湿器と同等の効果が得られます。ただし、空焚きなどを起こさないよう火の元に注意しましょう。
④コーヒーフィルターを使う
水の入った容器にコーヒーフィルター2~3枚を広げてセットすると「簡易加湿器」が完成します。お気に入りのアロマオイルを数滴垂らせばアロマ加湿器としても使えます。
⑤マスクをする
お部屋の乾燥が気になって眠れない時は、マスクを着用するのもおすすめ。マスク着用時は口腔内の湿度が70~80%に保たれ、風邪やインフルエンザの予防になります。また「ぬれマスク」を着用すれば喉の潤い効果が高められ、寝起きの「イガイガ感」を抑えやすくなります。
ただし「加湿のしすぎ」にも注意が必要
いかがでしたか?マンションの乾燥対策として「湿度管理」はとても重要になります。なお「入浴後にお風呂のドアを開けっ放しにしておけば乾燥対策になる」という情報は、「24時間換気システム」が導入されているマンションの場合、入浴後に浴室ドアを開けたままにしておくと換気システムがうまく稼働せず、浴室の湿気がすべて脱衣所のほうへ流れてカビの原因となるため、ドアの開けっ放しはやめた方がよいでしょう。また「加湿をしすぎた状態」になると、窓ガラスだけでなく家具の裏側や壁面にも結露が発生し、建材の劣化やダニの発生につながる恐れがあるのでやりすぎは禁物!常に40%~60%の「最適湿度」を意識しながら、心地よい空間づくりを目指しましょう。