お部屋の環境に合わせた観葉植物の選び方・育て方とは?
新型コロナウイルスのの影響を受けておうち時間が増えたことで、いま家庭園芸ニーズが高まっています。FJC(花の国日本協議会)が2020年5月に実施したアンケートによると「以前に比べて自宅に花やグリーンを飾りたい気持ちになった」と回答した人は90%に達し、その理由として「植物に癒されたいから」「植物に元気をもらいたいから」といった回答が上位を占めました。実際にホームセンターやフラワーショップでは、鉢物観葉植物の売上げが急伸。お部屋の中で「緑を身近に感じる暮らし」を楽しむ人が増えているようです。そこで今回のジオプラットでは、園芸初心者でも楽しめる「お部屋の環境に合わせた観葉植物の選び方・育て方」についてご紹介します。
「すぐに枯れてしまう…」を防ぐために、まずは置き場所と植物の相性をチェック!
観葉植物の多くは、もともと熱帯や亜熱帯地域で自生する植物のため、気温や湿度変化が大きい日本国内では育ちにくい品種もあります。そのため、観葉植物を長く育てるためには、まず植物の「自生地」の特徴を知った上で、観葉植物を置きたい場所との相性をチェックしましょう。ちなみに観葉植物の自生地とそれぞれの特徴は大きく分けて以下の4つに分類されます。
①熱帯~亜熱帯の湿地で大きく成長する植物
日光と多湿を好む品種で、日当たりの良い明るい窓辺と相性が良い植物。環境が合えばどんどん成長するので、天井の高さとのバランスを考えながら育てるのがおすすめです。具体的にはネムノキの仲間の「エバーフレッシュ」や、丈夫で育てやすい「パキラ」、ハート形の葉っぱが可愛い「ウンベラータ」などが該当します。
②熱帯雨林の樹木の上に自生する植物
大木や大きな葉が生い茂るジャングルの中で他の木に絡みつきながら自生する品種で、日陰の多湿な場所を好む植物。強い日差しが苦手なので、北向きの部屋など日光が入りにくい場所でも比較的育てやすい特徴があります。具体的には、サトイモ科に属する「モンステラ」や、水を与えるとどんどんツルを伸ばして成長する「アイビー」「ポトス」などが該当します。
③熱帯雨林の樹木の下に自生する植物
ジャングルの中でも大木の根本付近の地面に自生する品種で、耐陰性が強い植物。湿度が高く暗いところを好むので、直射日光が届きにくいお部屋の奥や廊下などでも育ちやすくなります。具体的には、ペルー原産の「フットニア」や、美しい白い花を咲かせる「スパティフィラム」、シダの仲間「アスプレニウム」などが該当します。
④砂漠や熱帯季節林に自生する背の低い植物
砂漠地帯など降雨量の少ない乾燥した地域に自生する品種で、過度な水やりは厳禁。湿気が少なく、適度な日差しがある場所と相性が良い植物です。具体的には、虎の尾とも呼ばれる「サンスベリア」や、球状の葉っぱがキュートな「グリーンネックレス」、子熊の手のような葉形が人気の「クマドウジ」などの多肉植物が該当します。
置き場所別に選ぶ、園芸初心者にも育てやすい人気の観葉植物は?
■明るい南向きリビングの窓辺におすすめ「エバーフレッシュ」
上記の4つの分類の中で①に当てはまる「エバーフレッシュ」は、カフェや美容室のインテリアグリーンとしてもお馴染みのお洒落な観葉植物。ネムノキの仲間で、夜になると葉を閉じる就眠運動を行うため、「その様子を眺めていると、まるでペットのようで愛着がわく」と人気を集めています。ただし、寒さと日照不足に弱いので明るい南向きの窓辺で育てるようにしましょう。
■直射日光が入らない北向きの部屋でも育てやすい「モンステラ」
4つの分類の中で②に当てはまる「モンステラ」は、独特のエキゾチックな葉型が特徴の観葉植物。耐陰性が強いため、直射日光が入らない北向きの部屋でも育てることができます。ただし、適度に日光を当てたほうが健康な株になり樹形も整うため、お天気の良い日はレースのカーテン越しに日光を当てるようにしましょう。
■ダイニングのテーブルグリーンにぴったりな「フィットニア」
4つの分類の中で③に当てはまる「フィットニア」は、網目状の葉の模様が美しい観葉植物。白、赤、ピンクなど葉脈のカラーバリエーションを楽しめます。もともと湿地の地面に生息する品種のため大きく成長することはなく、寄せ植えにするとこんもりと葉が密集して大きくなります。耐陰性が高く置き場所を取らないのでテーブルグリーンにもぴったりです。
■空気清浄効果◎寝室におすすめの「サンスベリア」
上記の4つの分類の中で④に当てはまる「サンスベリア」は、空気清浄効果が高い植物としてお馴染みの観葉植物です。乾燥を好むので、春~秋は週に一度程度の水やりでOK、冬場は水やり不要で手間がかかりません。耐陰性があり日当たりが悪い場所でも育ちやすいため、寝室のベッドサイドなどに置くのもおすすめです。
観葉植物を長く育てるために、必要なアイテムと育て方のコツは?
観葉植物をより長く元気に育てるためには、適切な「水やり・日照・栄養」が大切。そのため、観葉植物を購入するときは一緒に「じょうろ・霧吹き・肥料」を用意しましょう。
■乾燥や害虫を防ぐためには「葉水」が欠かせない
じょうろでの水やりの他に、欠かせないのは「葉水」。特に葉の大きな観葉植物は、葉の表面が乾燥してしまうと病気にかかりやすくなったり害虫がつきやすくなるため、定期的に葉水をおこなって生長を促しましょう。葉水のやり方は、霧吹きを使って葉の表側と裏側にシュッシュと水を吹きかけるだけ。また、多肉植物など乾燥を好む植物の場合は、じょうろでの水やりの代わりに週に一度程度葉水をするだけでOKです。
■4月~10月の成長期には「追肥」が必要
植物の生長に必要な三大要素は「窒素・リン酸・カリウム」の3つ。もともと観葉植物の培養土には、これらの肥料成分がバランスよく配合されていますが、年月を重ねるうちに土の中の養分が減少してしまうため、活力剤や栄養剤などを使って定期的に「追肥」をおこなう必要があります。肥料には固形・液体・粉末など様々な種類がありますが、最近は観葉植物の品種に合わせて必要な成分が調合された肥料も出ています。ただし、晩秋から冬場にかけて植物が休眠に入る時期に追肥をおこなうとかえって負担をかけてしまうため、4月~10月にかけての生長期にあわせて適切なタイミングで肥料を与えましょう。
■日照が足りないお部屋なら「植物育成ライト」の設置もおすすめ
お部屋の方位によっては、どうしても日あたりの悪い場所がありますが、そういう場所では太陽光に近い光を放出する「植物育成ライト」を設置してみるのもおすすめです。この植物育成ライトは、農園や植物栽培工場などで野菜や花きの生長促進用に使われてきたものですが、近年は家庭園芸用として小型化されたライトも登場しています。クリップ型やスタンド型など間接照明として使えるライトも揃っているため、お部屋のインテリアに合わせて選んでみるのも良いでしょう。
お部屋に観葉植物をプラスして“緑視率の高い住空間”を演出しよう
いかがでしたか?人は「視界に映る緑のボリューム=緑視率」が高いほど、リラックス効果が高まると言われています。ただし、単に緑を増やせば良いというものではなく、特にオフィスにおける緑視率に関しては「10~15%が最適値で、仕事の生産性が最も高まる」との報告もあります(2013年日本建築学会)。家族団らんのリビングスペースには緑を多く、テレワークスペースや勉強部屋には緑をやや控えめに…と、お部屋の使い方に合わせて「適度な緑のボリューム」を採り入れ、心地良い住まい空間を演出しましょう。