マンションの防災対策① 本格的な台風シーズンに向けて備えておきたいことは?
9月は防災月間。毎年この時期に自宅や職場の防災備蓄品の点検をしているという方も多いのではないでしょうか?中小企業庁のデータによると、日本における自然災害の中で発生件数が最も多いのは「台風(57.1%)」、次に「地震(17.9%)」、続いて「洪水(14.7%)」という結果に。こうした自然災害は「いつ、どこで発生するか?」という正確な予測が難しいだけに、日ごろからの備えや一人ひとりの心構えが欠かせません。そこで今回のジオプラットでは《マンションの防災対策》の1回目、『本格的な台風シーズンに向けて備えておきたいこと』についてご紹介します。
雨戸のないマンション、台風対策はまず「バルコニーの片付け」から
一般的なマンションは、RC(鉄筋コンクリート造)やSRC(鉄骨鉄筋コンクリート造)など、強度の高い構造になっているため、「暴風雨によって建物が倒壊する」といった台風被害は想定されていません。しかし、バルコニーや専用庭などの「外まわり部分」については、各住戸での台風対策が必要になります。
マンションの場合、一戸建てと違って雨戸が設置されていないため、バルコニーに置いてある物干し竿や植木鉢等が風にあおられて窓を直撃すると、ガラスが破損してしまう危険があります。また、マンションの中層階、高層階のバルコニーからモノが飛ばされて落下した場合、洗濯物ハンガーやお子さんの遊具などの軽量なプラスチックアイテムであっても、落下スピードによって大きな衝撃となります。万一、歩行者や車に当たった場合は重大な責任を問われる可能性があるため、台風が近づく前に「バルコニーに出ているモノを室内へ片付ける作業」をおこなっておきましょう。
■洗濯用品や物干し金物を片付けること
バルコニーに設置されている「物干し金物」は一番低い位置までたたみ、物干し竿を固定。ハンガーなどの洗濯用品は、面倒でも室内に片づけるようにしましょう。
■植木鉢などは固定すること
植木鉢など移動が難しいモノの場合は、それぞれの鉢をロープで結んで固定するなど、倒れにくい状態にしましょう。
■排水口まわりの清掃をおこなうこと
バルコニーの排水口を塞ぐようにゴミや落ち葉がたまっていると、雨水がうまく排水されず噴出が起こる可能性があります。また、台風が去った後に排水管詰まりを起こし、下階への水漏れトラブルの原因になってしまうケースも。排水口や排水溝の状態を確認し、いつもより丁寧に清掃作業をおこなっておきましょう。
「窓ガラス・網戸」もしっかりチェック
次に、「窓」と「網戸」のチェックをおこないます。窓や網戸がスムーズに動くかどうかを確認し、もしガタガタと外れそうになっている場合は、すぐに管理会社の窓口へ相談しましょう。ちなみに、マンションの窓や網戸は「専用使用権のある共用部分」となるため、取り換えや修理を勝手におこなうことはできず、管理組合の承認が必要になります。また、台風の暴風域に入る恐れがある場合は、窓のクレセント錠(カギ)を締めておくことも忘れずに。クレセント錠をしっかり締めることでサッシ同士が密着してすきま風を入りにくくしてくれるほか、強風で窓が勝手に開くのを防いでくれます。網戸は、サッシとの隙間が少なくなるよう片側にピタリと寄せておきましょう。
■暴風域に入ったらカーテンやブラインドを閉めておこう
台風の強風域・暴風域に入ったら、飛来物の衝突によってガラスが破損する可能性があるため、カーテンやブラインドを閉めておくようにしましょう。万一、ガラスが割れてしまった場合、カーテンやブラインドが閉まっていれば破片の飛び散りを防いでくれるため、ケガの防止につながります。また、窓の内側から飛散防止フィルムを貼っておくと、台風対策だけでなく、地震対策・防犯対策としても効果的です。
なお、ガラス保護の目的で窓の外側から段ボールを貼ったり、ブルーシートで窓を被う行為は危険。万一強風にあおられて段ボールやブルーシートが飛ばされてしまった場合、走行中の自動車の視界を妨げ、重大な事故を引き起こす可能性があります。「窓の対策は内側から」を徹底しましょう。
機械式や地下は要注意、「駐車場」の台風対策についても確認を
近年は、敷地内に機械式駐車場を設置したマンションが増えていますが、機械式駐車場は停電による影響を受けやすくなります。台風によって大規模停電が発生し、復旧が長引いてしまった場合、台風一過でいざマイカーを使いたいと思っても機械操作ができず、車を出庫できなくなるケースがあります。そのため、マイカーを使う予定がある場合は、早めにコインパーキングへ移動させるなどの対策を練っておくと良いでしょう。
■バイクや自転車の確認も忘れずに
また、地下フロアに駐車場やバイク置き場、駐輪場があるマンションの場合、想定を超える雨量によって地下フロアが浸水被害を受ける可能性もゼロではありません。近年の新築分譲マンションでは、地下浸水を防ぐための先進の排水装置が設置されていますが、排水装置がついていないマンションや、浸水ハザードマップで水害が想定されている地域に建つマンションの場合は、台風が近づく前にマイカーやバイクを安全な場所へ移動させておいたほうが良いでしょう。なお、駐輪中のバイクや自転車は車輪止めに固定されているかどうかを確認し、カバーが強風で飛ばされないようベルト等でしっかりと留めておきましょう。
これは意外と忘れがち!強風域・暴風域に入ったら「24時間換気システム」をオフに
改正建築基準法に基づき、2003年7月以降に建てられたマンションには、約2時間で室内の空気が入れかわる「24時間換気システム」が設置されています。また、換気をスムーズにおこなうために、各居室の壁面には「給気口」が設けられていますが、台風の強風域・暴風域の圏内では、給気口から部屋の中へ風雨が吹き込む可能性があるため、給気口を閉じるようにしましょう。給気口を閉じたら、24時間換気システムもオフにします。なお、「24時間換気システム」は常時運転が原則となっているため、台風が過ぎ去ったら給気口を開き、換気システムをオンに戻すことを忘れずに。
■台風の時は「換気扇のつけっぱなし」もNG
コロナ禍における室内換気を意識して「換気扇を24時間つけっぱなしにしている」というご家庭も多いと思います。しかし、換気扇をまわしている最中に台風の強風が入ってくると、ファンの部分が逆回転を起こして故障につながる恐れがあるほか、室内へ風雨が入り込む可能性もあります。台風の時は必ず換気扇をオフにしておきましょう。
■居室ドアはストッパーで固定を
台風が近づいてくると、玄関ドアを開け閉めするときに強烈な風圧を受け、お部屋の中の居室ドアが突然バタンと強く閉まることがあります。ドアの近くでお子さんが遊んでいたり、ひとりで扉を開け閉めするとケガにつながる可能性があるため、ドアストッパーで居室ドアを固定しておきましょう。
■停電が起こると、オートロックも使えなくなる可能性が
大規模な停電が起こった場合、マンションのオートロックやエレベーター、宅配ロッカーなどは基本的に使用できなくなります(※1)。そのため、エレベーターが使えない場合の移動動線の確認や、玄関ドアの施錠などをおこなっておきましょう。なお、≪ジオ≫シリーズではすべての新築分譲マンションのエレベーターに停電時の閉じ込め対策として「防災キャビネット」を導入しています(※2)
■管理会社・管理組合の責任者の連絡先を確認しておこう
マンション内で重大なトラブルが起こったとき、すぐに管理会社へ連絡できるよう、管理会社のサポート窓口や管理組合の責任者の連絡先を確認しておきましょう。
もしも…のときには管理会社へ、連絡先なども確認しておこう
避難勧告が発令されるほどの大規模な台風災害が起こらないことを祈るばかりですが、近年はコロナ禍における避難所での密を避けるため、万一の災害時にも「在宅避難」を推奨する自治体が増えているようです。ちなみに、多くの新築分譲マンションでは、在宅避難のままで日々の生活を維持できるよう、マンション内に防災倉庫を設置。救助用具や簡易トイレ・発電機・非常用飲料水などを備えた物件が増えているため「マンション内共助を伴う在宅避難」をスムーズにおこなえる安心感があります。この機会に改めて、現在お住まいのマンションの「防災への備え」、そして、ご自宅の「台風への備え」を見直してみてはいかがでしょうか?