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新築物件ではなかなか出会えない「低層マンション」、その魅力とメリット・デメリットとは?

マンション選びの条件は、立地・間取り・方位・規模など様々ありますが、中でも「低層マンション」「高層マンション」といった建物の階層は、人によって好みが分かれる条件です。階層については法的な定義はないものの、建物をあらわす表現としては一般的に3~5階建てが「低層マンション」、6階~10階建てが「中層マンション」、11階~19階建てが「高層マンション」、20階建て以上が「タワーマンション」に分類されることが多くなります。ちなみに、東京商工リサーチの調査によると、全国の社長が暮らしているマンションの階数は「平均5.35階」。少々意外な感じもしますが、社会的ステイタスが高い人ほど「高層階より地面に近い階を選ぶ傾向が強い」とのデータもあるようです。そこで今回のジオプラットでは、なぜ低層マンションが好まれるのか──その魅力とメリット・デメリットについて解説します。

事業性や用途地域が影響し、新築物件ではなかなか出会えない低層マンション

マンションといえば「華やかなタワーマンションや高層マンション」をイメージする方が多いかもしれません。実はデベロッパーの事業性としては、総戸数500戸を超えるような大規模高層タワーをつくるほうが利益率が高くなるため、近年の新築マンションでは建物の高層化や大規模化がトレンドになっています。一方、マーケットにおける出現率は高くはないものの、地上5階建て以下の「低層マンション」の開発が行われることもあり、その存在は中古市場においても根強い人気を誇っています。なお、低層マンションの誕生には、マンション建設地の「用途地域」が大きく影響します。

■法令によって良好な住環境が守られている「低層住居地域」

用途地域というのは「都市計画法」に基づいて定められている13の地域のことで、地域内に建てられる建物の種類や大きさ等が明確に決められています。その13地域の中でも、最も厳しい条件で低層住宅の良好な住環境が守られているのが「第一種低層住居専用地域」。同地域では建設できる建物の高さが10m(または12m)までに規制されており、マンションの場合は概ね地上3階建てまでしか建設することができません。また、同地域は土地が細かく分筆され、戸建て住宅が多く建ち並んでいることから、マンションを新たに建てられるような広い用地はなかなか見つかりません。そのため「新築の低層マンションは登場しにくい」と言われるのです。

■低層マンションの「希少性の高さ」や「グレード感」が好まれる

しかし、幸運にも大きなお屋敷の跡地や生産緑地、駐車場跡地などの広い土地を受け継いで、第一種低層住居専用地域内に新築低層マンションが登場するケースもあります。同地域内の低層マンションは、高さ制限によって住戸を積み重ねることができないぶん総戸数が少なくなるため、事業の採算性を高める目的で、外観意匠や上質素材にこだわった「ハイグレード物件」として企画されることが多くなります。その「グレード感」や「希少性の高さ」が、社会的ステイタスの高い人たちから好まれる要因となっているようです。

多くの人を惹きつける低層マンションのメリットとは?

グレード感や希少性といった魅力の他にも、低層マンションには様々なメリットがあります。

緑に包まれた閑静な環境で暮らすことができる

低層住居専用地域には、原則として大型商業施設や遊興施設の建設が規制されているため、静かな街並みが広がっています。また、緑豊かな公園や小中学校に近接していることが多く、子育て環境としても良好です。加えて、厳しい法令により住環境が守られていることから、将来「周辺の景観が変わりにくい」という点も低層マンション特有のメリットとなります。

■マンション内コミュニティが育まれやすい

低層マンションは少戸数であることが多いため、居住者同士が顔見知りになりやすく、お互いに挨拶を交わすことでマンション内コミュニティが育まれやすくなります。これによって管理組合の運営も円滑に行えるほか、マンション内の防犯性を高める効果にもつながります。

■館内移動の時間を短縮できる

タワーマンションや高層マンションでは、特に平日朝の時間帯に居住者のエレベーター利用が重なり、館内移動の待ち時間が長くなることがあります。その点、低層マンションなら上下移動に時間がかからず、エレベーターの待ち時間を短縮できます。また、万一の災害時には階段で移動できるため、エレベーターが停止しても大きな混乱になりにくく、居住者の避難行動もスムーズに行えます。こうした「地面に近い暮らし」は、小さなお子さんがいらっしゃるご家庭やシニアの方にとっても安心材料となります。

■頑丈な壁式構造の建物が多い

近年のマンションは、柱と梁で建物を支える「ラーメン構造」が一般的ですが、低層マンションの中には耐力壁で建物を支える「壁式構造」を採用した物件が多く見られます。頑丈な壁式構造のマンションは耐震性・防音性・断熱性に優れているほか、柱や梁の出っ張りがなくなるため室内がスッキリと広く感じられる効果もあります。

■大規模修繕工事費を軽減しやすい

マンションでは概ね12年~15年毎に大規模修繕工事を行いますが、地上45m(15階建て相当)を超えると足場の組み立てが難しく、ゴンドラを使って高所作業をすることになるため、工事費が大きく跳ね上がります。一方、低層マンションならすべて足場で工事対応できるため、修繕工事費を軽減しやすくなります。

資産としての評価を維持しやすい

前述の通り「第一種低層住居専用地域」では新築低層マンションがなかなか登場しにくいため、中古物件になった後も居住希望者が多く、賃貸運用や売却活動をスムーズに行える傾向があります。希少性の高さから「資産としての評価を長く維持しやすい」という点も、低層マンションならではのメリットです。

低層マンション特有のデメリットについても知っておこう

もちろん、低層マンションにもデメリットはあります。

駅からやや離れていることが多い

低層住居専用地域は、一般的に駅から少し離れたエリアに広がっているため、低層マンションの多くは「駅遠物件」となります。また、同地域内では(コンビニエンスストアを除き)商業施設の建設が制限されていることから近隣に大型商業施設が見当たらず、買い物が少々不便なこともあります。

壁式構造の場合リフォームの自由度が低くなる

壁式構造を採用した低層マンションでは、建物を支える耐力壁を撤去することができないため、将来リフォームを行う時に、間取りを自由に変更できない可能性があります。また、ラーメン構造のマンションに比べると、窓などの開口面が小さくなる傾向があります。

エレベーターがない物件もある

建築基準法では、エレベーターの設置義務を「高さ31mを超える建物(概ね7階~10階建て相当)」としているため、中古の低層マンションの中にはエレベーターが設置されていない物件を時折見かけます。エレベーターがないマンションの場合、引っ越しの際の家具の搬入費用が割高になることも。必ず有無を確認しましょう。

眺望が期待できない場合もある

低層住居専用地域では、同じような高さの建物が建ち並んでいるため、タワーマンションのようなのびやかな眺望はあまり期待できません。ただし、目の前に緑道が広がっていたり、公園に隣接しているような物件の場合は、低層マンションでも明るさと開放感を満喫できます。

管理費が高くなる可能性がある

少戸数の低層マンションでは、管理費を少ない世帯で按分することになるため、大規模マンションと比べると管理費がやや割高になることがあります。逆に、管理費を抑える目的で、キッズルームなどの共用施設やコンシェルジュサービスを極力簡素化した物件も。管理費の負担額と共用部の充実度のバランスを見極めて物件を選ぶようにしましょう。

戸建とマンションの良いところを兼ね備えた「低層マンション」は世代を問わず好まれる

いかがでしたか?中高層のマンションとは異なり、「戸建て=地面への近さ」と「マンション=機能・設備の充実度」の良いところをミックスしたような心地よい暮らしが実現する点は、世代を問わず好まれる住まい条件であり、低層マンション最大の魅力と言えます。今回の記事でご紹介したメリット・デメリットをそれぞれ比較しながら、理想の住み心地にマッチする階層のマンションを探してみてはいかがでしょうか?

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