室内でも要注意!
夏のマンションで気を付けたい熱中症対策とは?!
いよいよ夏本番を迎えるこの季節、テレビでは連日のように熱中症に関するニュースが報道されています。国立環境研究所の調査によると、熱中症の患者数は1日の最高気温が25度を超えたあたりから少しずつ増えはじめ、29度を超えると0~6歳までの乳幼児世代で増加。さらに、31度を超えると全世代で急増し、35度を超えると65歳以上のシニア世代が一気に増えるとのデータがあります。また、熱中症は「昼間の屋外の炎天下で発症する」というイメージがありますが、実は最も多いのは「住居(38%)」、次いで「道路(19%)」「公衆屋外(13%)」となっており(総務省統計)※、圧倒的に自宅内で熱中症にかかるケースが多いことがわかります。そこで今回のジオプラットでは、《真夏のマンションで気を付けたい熱中症対策》について解説します。
※総務省 令和6年(5月~9月)の熱中症による救急搬送状況 P4
「自宅内熱中症」が発症しやすくなる理由とは?
熱中症は「環境」「からだ」「行動」の3つの原因が重なることで、汗や皮膚による体温調節ができなくなり、発症すると言われています。
●環境・・・・・・陽ざしの強さ、高温・多湿、閉め切った室内の無風状態など
●からだ・・・・・・二日酔いや寝不足による体調不良、高齢者・乳幼児の体力的リスクなど
●行動・・・・・・運動や労働などの激しい動き、水分補給ができない状態など
夏の暑い日に外出するときは、日傘の使用やこまめな水分補給など熱中症対策を心がけながら行動しますが、ついつい気を抜いてしまうのが自宅内。屋外に比べて喉の渇きを感じにくくなるほか、特に高齢者の方は「冷たい風が苦手」という理由からエアコンを使用しない人も多く、就寝中など気づかないうちに室温・湿度が高くなり、熱中症を発症してしまうケースが少なくありません。
「マンション」ならではの立地・性能・構造が影響することも
「環境」面では、マンション特有の立地や性能、建物構造が影響する場合もあります。
そもそもマンションは都市部に建てられることが多く、敷地の周囲がコンクリートやアスファルトに覆われているため、地表にこもった熱が放出されにくい環境にあります。さらに、エアコンの室外機や自動車からの排熱が加わると、夜になってもなかなか気温が下がりません。
また、断熱・気密性を高めた構造になっていることから、外気温の影響を受けにくく、室内の空気を外へ逃がしにくくなるのもマンションの特徴です。これは冬場ならとても快適な環境ですが、夏場にいったん室温が上昇してしまうと熱がこもったままの状態になってしまうため、蒸し暑さが解消しにくくなります。
他にも、「一戸建てに比べると窓が大きく、陽ざしが室内に入りやすい」「陸屋根のため直射日光が当たる面積が広く、上層階ほど室温が上がりやすい」など、マンションならではの室内環境によって熱中症にかかりやすくなることもあるため注意が必要です。
マンション内での熱中症を防ぐために気を付けたい5つの対策とは?

【対策①】温度・湿度・風をコントロールする
前述の通り、熱中症は「高温・多湿・無風状態」の環境が重なると発症しやすくなります。特に小さなお子さんや高齢者のいるご家庭ではためらわずにエアコンを使用し、室温を26~27度に設定しましょう。湿度に関しては40~60%でコントロールすることが推奨されています。
「エアコンの冷たい風が苦手」「就寝時にエアコンを使うと必ず風邪をひく」という方は、サーキュレーターを使って風の流れをつくりましょう。このときサーキュレーターを寝室の隅に置き、天井に向かって風を送るようにすると、熱を含んだ空気が循環しやすくなり室温・湿度を下げることができます。
なお、室温や湿度は同じ住戸内でも部屋の方位によって異なるため、それぞれの部屋に温度計・湿度計を設置して環境の変化をチェックしましょう。

【対策②】窓からの陽ざしを遮る
近年多くの新築マンションの窓には、遮熱・断熱性の高い複層ガラスが採用されており、日射熱を約40~60%までカットすることができます。その性能をさらに高めるために欠かせないのが「カーテン」や「ブラインド」です。
最近は、涼しげなレースの素材感でありながら、遮熱性やUVカット効果も併せ持つ「高機能性糸を使った遮熱カーテン」も登場。日中はカーテンを閉じ、窓から陽ざしが入らないような対策を行っておけば、室温の急激な上昇を防ぎやすく、熱がこもりにくくなります。また、夏の定番ガーデニングでもあるアサガオやゴーヤのなどの「緑のカーテン」を窓辺で育てたり、西日が当たる窓の外に「すだれ」を設置すると、強烈な陽ざしを遮ることができます。
【対策③】家電製品からの放熱に注意する
テレワークの定着や日用品のIoT化により、自宅内で使用する家電製品の数は年々増えています。家電製品は機器内に熱がこもると電子部品を劣化させてしまう恐れがあるため、常に放熱する仕組みになっていますが、この「家電製品の放熱」も室温を上げる要因のひとつです。
放熱量の多い冷蔵庫やテレビは壁から少し離して設置し、裏面の風通しをよくすること。パソコン、スマホ、タブレット、ゲーム機などのデバイスを複数台近づけて同時に充電しないこと。さらに、使わない家電製品の電源は抜いておくこと。白熱電球や蛍光灯からLED電球に取り換えることなどを心がけるようにすると、室温上昇の抑制だけでなく電気代の節約にもつながります。
【対策④】こまめな水分補給を心がける
自宅内で過ごしていると、うっかり水分補給を忘れがちになるため、30分に1回はコップ半分程度(100ml)の水を飲むように意識しましょう。このときレモン果汁や塩をひとつまみ入れて飲むようにすると、熱中症対策として効果的です。また、入浴後や就寝前にはコップ一杯(200ml)の水を飲んでから眠るようにすると、就寝中の夜間熱中症を防ぎやすくなります。
【対策⑤】ベッドリネンや肌着に冷感素材を採り入れる
最近は熱中症対策として吸汗・速乾機能を持つ多彩なリネンアイテムが揃っています。枕カバーやシーツなどのベッドリネンのほか、冷感インナー、涼感パジャマなどを採り入れ、体感温度を下げる工夫を行うことも熱中症予防につながります。
マンションの住宅性能を理解した上で「熱をこもらせない工夫」を心がけよう
近年のマンション業界では、建物全体の断熱性能・省エネ性能を高めた「ZEH-M」や「低炭素建築物」など、高性能な新築物件が増えています。こうしたマンションならではの住宅性能を理解した上で、日頃から“室内に熱をこもらせない工夫”を心がけるようにすれば、マンション内での熱中症は防ぎやすくなります。今回ご紹介した5つの対策を参考にしながら、今年の夏の猛暑を健やかに乗り切りましょう!