都市の活気と華やぎに溢れ、多摩地域の中核都市へと変貌を遂げている調布市。駅周辺は再開発により都市機能が充実した躍動的な街へと生まれ変わり、大型商業施設や映画館、市役所が集積する駅南口ではさらなる開発が進行中だ。
調布市は人口236,984人・世帯数120,214世帯(2020年3月1日現在)、今後も緩やかな増加が予想されている。新宿へわずか2駅・15分で直結するアクセスをはじめ、快適な都市機能と豊かな自然との共生、そして静穏な住環境など、調布市の高いポテンシャルが東京で暮らす多くの人々を惹きつけている。
また、調布市には映画撮影所などが集積し、“映画のまち調布”としての知名度も誇っている。
永きにわたる居住の歴史を誇り、高台の別邸が今日の邸宅地の礎に。
調布市では約1万2千年前の縄文時代、清水が湧き出る深大寺周辺や布田エリアの高台に人々が住み、弥生時代には稲作を行っていたという。布田5丁目の「古天神公園」は調布エリアの総鎮守・布多天神社の創建の地と伝わり、公園からは古代・中世の住居跡などが発掘されている。また、布田6丁目には「国指定史跡下布田遺跡」があり、出土品などが隣接する「郷土博物館分室」で保管・展示されている。
江戸時代には、徳川家康が全国の道路整え、日本橋と下諏訪を結ぶ甲州街道を整備。調布市内では、国領、下布田、上布田、下石原、上石原が宿場となり、布田五宿として宿場の役目を交替で果たしていた。甲州街道と平行して京王線の南側を東西に走る品川通りは、府中と品川を結ぶ重要な街道であり、府中にある大國魂神社の祭礼に先だって行われる行事のために、今日でもこの道が重要な役割を果たしている。
品川通りの南、布田エリアの高台は、明治から昭和初期にかけて、都心に近い風光明媚な景勝地として多くの要人が自宅や別邸を構えていた。布田6丁目には桂家所有の別荘をはじめ、新田義美男爵等が別邸を構え、調布市屈指の邸宅地へと成熟する礎となった。中でも新田邸ではカーネーションの温室栽培が行われたほか、舞踏会も聞かれるなど、今日では想像もできないハイソサエティな暮らしが繰り広げられていたという。往時の豊かな暮らしぶりが、今日の穏やかな街並みに深く息づいているかのようだ。
再開発で変貌する「調布」駅周辺の象徴、複合商業施設「トリエ京王調布」。
1999年、調布駅周辺地区地区計画が決定し、市の行政・文化・コミュニティの中心地として、また多摩地域内の主要な玄関口にふさわしい広域的な拠点としての整備計画がスタート。2012年、京王線の地下化(柴崎駅~西調布駅間の約2.8km/調布駅~京王多摩川駅間の約0.9km)が実現し、駅前の再開発が加速。南口では、2025年度の完成を目指してロータリーと多目的広場などの開発が今も進行中だ。
2017年、地下化した駅舎と線路の跡地に誕生した複合商業施設「トリエ京王調布」A・B・C館は、生まれ変わった駅前を象徴する施設として、多くの人々で賑わっている。駅の東口・中央口と直結するA館の1階にはスーパーマーケットと飲食を融合した「成城石井」初のグローサラント型店舗が入り、2階〜4階はファッションや雑貨などの店舗が多く、最上階の5階はレストラン街となっている。
駅前広場に面するB館の大部分を占めるのが、大型家電量販店「ビックカメラ」。C館の2階〜4階が“映画のまち調布”を体現するシネマコンプレックス「イオンシネマ シアタス調布」。11スクリーン、全1,652席の都内シネコン最大級の規模を誇り、新次元の体感型アトラクションシアター4DXも導入されている。C館北側には、木製の大型家具や人工芝のカーペットでくつろげる憩いの空間が設けられ、子どもたちが自由に遊ぶことができる。
多彩な花と緑に溢れ、多摩川の大自然に包まれる東京のオアシス。
「調布」駅から京王相模原線で1駅の「京王多摩川」駅。そこは、美しい花が咲き誇る「京王フローラルガーデンアンジェ」の街。欧風庭園でポピュラーな魅力溢れるマグノリア(モクレン)を中心に、四季折々の花と緑を集めた12のガーデンで構成されている。園内ではコンサートなどのイベントやフラワーアレンジのセミナーも開催され、手ぶらで出かけてバーベキューを楽しめる施設も整っている。
「京王多摩川」駅の南側には雄大な多摩川が流れ、河川敷には多摩川児童公園が広がっている。子どもたちがのびのびと遊べる自由広場をはじめ、少年野球場が5面、ソフトボール場が2面、京王相模原線を挟んで下流にサッカー場が1面あり、休日にはスポーツを楽しむ人の歓声がこだまする。
調布市の豊かな自然を物語るもうひとつのスポットが、1961年に都内唯一の植物公園として開園された「神代植物公園」。約4,800種類、10万本の樹木が植わる広大な園内には、ばら園やつつじ園、うめ園など、植物の種類ごとにブロックに分けられ、大温室では珍しい熱帯の植物も鑑賞できる。日本古来の園芸植物の品種の保存や植物・園芸に関する展示会も開催し、緑や園芸に興味のある多くの人々を魅了している。