マンションの「住宅性能評価書」とは?
購入前に知っておきたいメリット・見方・注意点を解説
みなさんは「住宅性能評価」という言葉をご存じですか?住宅性能評価とは「住宅の品質確保の促進等に関する法律(品確法)」に基づき、国の指定を受けた第三者機関が住宅性能を客観的に評価する制度のことで、評価を受けた住宅には「住宅性能評価書」が交付されます。こう聞くと、少し難しく感じるかもしれませんが、この評価書は「住まいがどのような性能を持ち、どのように施工されたか?」を確認するための“マンションの健康診断書”のような存在。特に近年は、マンション価格の高騰を背景に「長く安心して暮らせる物件か?」「将来的にも価値を維持しやすい物件か?」が重視される傾向にあり、それを証明する上でも重要な書類となります。そこで今回のジオプラットでは「住宅性能評価書」のチェックポイントやメリットについてわかりやすく解説します。
住宅性能評価で「評価される項目」とは?
新築物件の住宅性能評価書では、耐震性や劣化対策、メンテナンス性、省エネルギー性、遮音性など、国が定める評価基準に基づいて「10分野の性能表示事項」に関する等級や数値が表示されます。ただし、この評価書の取得は、あくまでも「任意」であって義務ではないため、すべての住宅に交付されるわけではありません。また、マンションと戸建てでは建物の構造・性質が異なることから、評価の対象範囲に違いがあるほか、中古の場合は新築時の評価書を引き継ぐのではなく中古物件として「既存住宅性能評価書」を新たに取得するケースもあります。ここからは主に「新築マンションの性能評価」に関する内容を紹介します。

住宅性能評価書には「設計」と「建設」の2種類があり、申請は不動産会社が行う
新築マンションの住宅性能評価書には「設計」と「建設」の2つの書類があります。こちらも義務ではありませんが、一般的には2つの性能評価をセットで取得するケースが多く見られます。
■設計住宅性能評価書(設計時の評価)
マンションが完成する前の図面段階で図面審査を行い、基準を満たす性能が確保されているかどうかを評価するもの
■建設住宅性能評価書(建設中から竣工時の評価)
施工段階から竣工までの間に複数回検査を行い、図面通りに施工されているかどうかを評価するもの
なお、新築マンションの住宅性能評価書の申請・取得は原則として不動産会社(売主)が行うため、契約者が事前に手続きを行う必要はありません。契約者への交付方法は、契約時に「写し」を、引渡し時に「原本」を他の重要書類とあわせて担当者から手渡しするのが一般的です。

※国土交通省 「新築住宅の住宅性能表示制度ガイド」をもとに作成
住宅性能評価書のチェックポイントは?

住宅性能評価書の中では各分野・項目ごとに等級が示されており、等級の数値が大きくなるほど「性能が高いこと」を意味します。どの項目も大変重要なものですが、特に「評価必須項目」とされている次の4つについて、マンションの標準レベルと照らし合わせながら等級を確認しましょう。
■構造の安定(耐震性能など)
等級1は新耐震基準を満たすレベル、等級2では等級1の1.25倍、等級3では等級1の1.5倍の強度を示す。等級が高いぼど安心感があるものの、近年の新築マンションでは「等級1」を取得している物件が多く見られる。
■劣化の軽減(構造躯体の劣化対策など)
等級1は建築基準法の最低限レベル(耐用年数25~30年)、等級2は50~60年、等級3は75~90年。近年の新築マンションでは「等級3」を取得している物件が多く見られる。
■維持管理・更新への配慮(配管等のメンテナンスのしやすさなど)
等級1は等級2を満たないレベル、等級2は基本的な措置が講じられているレベル、等級3は将来の維持管理を容易にするための措置が講じられているレベル。近年の新築マンションでは「等級3」を取得している物件が多く見られる。
■温熱環境(断熱性能など)
※断熱等性能等級は2025年4月からの省エネ基準引き上げによって7段階中「等級4」が最低レベルに。
等級5はZEH水準レベル、等級6はHEAT20 G2相当の高い断熱性能レベル、等級7はHEAT20 G3相当の最上レベル。近年の新築マンションでは「等級5」が一般的な水準となりつつあり、「等級6」を取得する物件も徐々に増えている。一方で、最高等級である「等級7」を満たすマンションは現時点ではごく少数。なお、2030年以降は「等級5」が新築住宅の基準になる見込みであるため、今後は「等級6以上の性能」が差別化ポイントになる可能性がある。

■物件の性能が“見える化”される
住宅性能評価書取得のメリットは様々ありますが、特に大きなメリットは「契約者が住宅性能を比較しやすい」ということ。上記のように、耐震性・断熱性などの性能が等級によって“見える化”されるため、専門知識がない人でも「どのレベルの性能を備えているのか?」を判断しやすくなります。また、将来物件を売却する際にも住宅性能について客観的に説明しやすくなり、購入検討者の安心につながります。
■優遇措置が受けられることもある
住宅ローンや地震保険、税制面で優遇を受けられる可能性がある点もメリットの1つ。例えば、一定条件を満たすマンションでは、住宅ローンの金利優遇のほか、耐震等級に応じて地震保険料の割引を受けられる場合があります。また、親や祖父母から住宅取得資金の贈与を受ける時は、所定の等級をクリアしていれば、贈与税の非課税枠が最大1000万円まで拡大されます。
■万一のトラブルの時に住宅紛争処理制度を利用できる
万が一、引渡し後にトラブルが発生した場合、国が指定する紛争処理機関に依頼し、通常の裁判よりも迅速・安価に解決しやすい「住宅紛争処理制度」を利用することができます。こうしたサポート体制が用意されている点も、住宅性能評価書を取得した物件ならではの心強さです。
住宅性能評価に加えて長期優良住宅認定を受けた物件なら、さらにメリットが広がる
なお、住宅性能評価とよく似た制度として「長期優良住宅認定制度」がありますが、住宅性能評価は第三者機関による評価、長期優良住宅は地域の所管行政庁(自治体)による認定であり、制度の目的や担当機関が異なります。ただし、「劣化対策」「耐震性」「省エネ性」など共通する評価項目も多く、両方を満たした物件なら税制優遇や住宅ローン面でより多くのメリットを受けられる場合があります。
新築マンションを探す時は、「価格」や「駅からの距離」「間取り」等に加えて、「どのような性能を備えているのか?」という点にも注目しながら、長く安心して暮らせる住まいを選びましょう。