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加入したまま放置していませんか?
マンションの「火災保険」は定期的な見直しが必要!

9月1日は防災の日──これは大正12(1923)年9月1日に発生した関東大震災を教訓として制定されたものですが、同時に9月は台風や豪雨などの自然災害が多く発生する時期でもあることから、多くの自治体が「防災月間」を掲げ、地域や各家庭における防災対策の見直しを啓発しています。そこで今回のジオプラットでは「マンションの防災対策の見直し」について。中でも、ついつい忘れがちな「火災保険の見直し」について解説します。

マンションの防災対策に欠かせない「火災保険」とは?

火災保険とは、火災をはじめとする住まいの損害を補償する保険のこと。商品名こそ「火災保険」となっていますが、実は火災だけでなく、水災、風災、雪災といった自然災害のほか、水漏れや盗難による損害など、補償範囲は幅広く設定されています(ただし、保険商品によって補償範囲は異なります)。火災保険への加入は法的に義務付けらたものではありませんが、住宅ローンを借入れる場合には、金融機関の多くが「火災保険加入」を融資条件としています。

ちなみに、内閣府の調査によると、マンションを含む「持ち家世帯の火災保険加入率」は約82%※。“8割が加入している”と考えると大きな数字のように感じますが、逆に2割の世帯はまだ加入していないということ。万一の被災時には、公的支援だけで生活再建を目指すことが難しいため、国や自治体は残る2割の世帯にも「火災保険への加入」を積極的に呼びかけています。

なお、地震による火災等の被害に関しては、原則として火災保険の補償外となるため、火災保険とセットで「地震保険への加入」が必要になります。さらに、マンションでは「共用部」と「専有部」で補償範囲が異なることから、管理組合・個人それぞれで「火災保険」「地震保険」に加入するのが一般的です。

内閣府防災情報のページ 持家世帯の保険・共済の加入件数・割合(建物のみ)(内閣府試算)

不測の事態のときに御守りがわりになってくれるのが「火災保険」

鉄筋コンクリート造のマンションの場合、「建物が頑丈だから大丈夫」という理由で火災保険に入らない人も少なくないようです。しかし、次のようなケースでは「火災保険」が不可欠です。

例えば、近隣住戸で火災が起こった場合、現在の日本の法律では「故意や重大な過失がない限り、他人の家や財産に与えた損害を賠償する責任は生じない(失火責任法)」と定められているため、延焼被害を受けても火元住戸に対して補償を求めることができず、自身で加入している火災保険でしか補償を受けることができません。

また、台風等の影響で飛来物が窓に当たり、ガラスが飛散して家財が傷ついてしまった場合、窓ガラスの修繕に関しては「共用部」の扱いとして管理組合加入の火災保険で補償されますが、専有部である室内の汚損や家財の損害については補償対象にはなりません。

こうした不測の事態のときに、御守りがわりになってくれるのが「火災保険」なのです。ただし、補償内容については定期的な見直しが必要です。

現在加入している「火災保険」、定期的に見直したほうが良いのはなぜ?

「火災保険は一度契約したらずっとそのまま更新し続けるものと思っていた」という方も多いのでは?しかし、近年は自然災害の激甚化を受けて、ハザードマップのリスク状況が年々変化しているため、更新のタイミングで保険料が引き上げられるケースもあります。満期が来たらそのまま更新するのではなく、保険内容を定期的に見直すようにしましょう。

なお、従来の火災保険は契約期間が「最長10年」に定められていましたが、「自然災害の多発により、将来予測が不確実な状況にある」という理由により、2022年10月から5年を超える火災保険契約は廃止となりました。現在は「最短1年から最長5年まで」の契約期間が定められています。また、満期を迎える前でも途中解約・再契約は可能です。

「火災保険」を見直すべきタイミングとは?

●災害リスク状況が変わったとき

自然災害の増加を受けて、火災保険の補償内容も変化しています。最近の事例では、2024年10月から「水災等地」が5段階に分類され、水害リスクの高い地域では保険料が上がり、低い地域では保険料が下がるなど、市町村ごとに細分化されました。居住地域のリスク状況がどのように変化しているかを確認した上で保険契約を見直しましょう。

●家族構成が変化したとき

お子さんが成人して一人暮らしをはじめるときや、ご主人が単身赴任で引っ越しをするときなど、家族構成の変化を迎えた時は火災保険見直しのタイミング。保険の「家財評価額」は世帯主の年齢や家族構成(人数)を基に簡易評価で算出されるため、見直しをすることで保険料が安くなる場合もあります。

●マンションをリフォームしたとき

火災保険の加入には「告知義務」と「通知義務」があります。「告知義務」とは、対象となる住居や家財の状況について正しく報告すること。「通知義務」とは、その住居や家財の状況に変更が生じた場合、保険会社へ正しく通知することを指します。例えば、古くなったキッチンやお風呂をリフォームしたり、エアコンや浴室乾燥機などの設備機器を増設した場合は「家財評価額」が上がるため、保険会社へ通知を行う義務があります。家財評価額が上がれば、保険料も上がる可能性があるため、通知を行うタイミングで内容の見直しを行いましょう。

●契約・更新から5年以上が経過しているとき

近年は円安等の影響により資材価格が高騰中。長期契約の火災保険の場合、「時価基準」で算定されていると経年に応じて評価額が目減りし、再建に必要な保険金が受け取れない可能性もあります。「新価(再調達評価額)基準」への見直しも含めて内容を検討しましょう。

火災保険を見直す場合の「注意点」についても知っておこう

火災保険を定期的に見直すことで、補償内容をしっかり把握できれば、不測の事故や災害時にも迅速に給付請求を行えるほか、特約付加や削除を検討することで「保険料・補償内容を適正に保つことができる」メリットがあります。一方で、次のようなケースでは見直しの際に注意が必要です。

●解約返戻金が戻らないケースもある

満期を迎える前に火災保険を解約する場合、残りの保険期間の保険料は「解約返戻金」として返還されます。しかし、その計算方法は保険会社によって異なるほか、残された保険期間が1ヶ月未満の場合、解約返戻金が返還されないケースもあるため確認が必要です。

●かえって保険料が高くなるケースもある

前述の通り、地域の災害リスクは年々更新されています。保険内容を見直すことで、居住地域によっては保険料が値上がりすることもあるため、その場合は現在加入している火災保険を満期まで継続したほうが良いでしょう。なお、保険料は、「時価基準」よりも「新価基準」のほうが、「長期契約」よりも「短期契約」のほうが高くなります。

●保険金額と住宅ローン残高とのバランスを確認する

「保険料を安くしたいから」という理由で火災保険を見直し、保険金額が住宅ローン残高を下回ってしまった場合、万一のときに保険金で住宅ローンを完済することができなくなります。これでは保険加入が本末転倒となってしまうため、住宅ローン残高との適正なバランスを確認した上で見直しを検討しましょう。

見直しは独断で行うのではなく、まずは保険会社の窓口へ相談を

住宅ローン契約において「火災保険」に対し金融機関の「質権設定」が行われている場合は、勝手に保険内容を見直すことはできず、解約・乗り換えについても金融機関の同意が必要になります。また、見直しを行うことで「保険の空白期間」ができてしまうと、その間の災害や事故の補償が受けられなくなります。いずれにしても、火災保険の見直しについては独断で行うのではなく、現在加入している保険会社の窓口へ連絡した上で「適正な見直し方法」について相談してみましょう。

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