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2026年4月から大改正施行!
マンションを買う前に知っておきたい「区分所有法」とは?

日本で初めて分譲マンションが登場したのは1950年代のこと。その後1962年に制定された「区分所有法」の中では、分譲マンションのような「ひとつの建物の中に多くの所有者が存在する区分所有建物」の維持・管理を円滑に行うためのルールが定められ、時代の変遷と共にたびたび改正が行われてきました。そして、2026年4月1日、20年ぶりの大改正として「改正区分所有法」が新たに施行されます。そこで今回のジオプラットでは、マンションを購入する前に知っておきたい「区分所有法」の大切なポイントについて解説します。

そもそも「区分所有法」というのはどんな法律?

区分所有法とは、正式には「建物の区分所有等に関する法律」といい、マンションや団地、オフィスビルなど、一つの建物を区分して複数の人が所有する場合の基本的なルールを定めた法律です。

例えば一戸建て住宅の場合、原則として一つの建物に対して一つの所有権が認められるため、建物に関するルールは民法が適用されます。

一方、マンションなどの集合住宅では、各住戸の「専有部分」はそれぞれの所有者が管理・維持しますが、エントランスやエレベーターなどの「共用部分」、さらには建物全体の管理や修繕、建替えといった重要な事項については、すべての所有者の意思を確認しながら決めていく必要があります。

このように、多くの所有者が一つの建物を共有する集合住宅では、民法だけでは円滑な維持・管理が難しくなるため、民法の特別法として区分所有法が制定されています。

2026年4月1日から施行される「改正区分所有法」では全九十二条の条項が定められていますが、ここからは、特に分譲マンションに関連する「区分所有法の重要なルール」について解説します。

「区分所有法」の中でも覚えておきたい大切なルールとは?

まず分譲マンションの区分所有法の中で重要となるのは、法律で定められた「専有部分」「共用部分」「敷地利用権」のそれぞれの定義を理解しておくことです。

■専有部分とは?

区分所有建物のうち、区分所有者が「単独で所有しているスペース」のこと。分譲マンションでは天井・壁・床に囲まれた「住戸の内側」のことを指します。

■共用部分とは?

区分所有建物のうち、区分所有者が「共同で使用するスペース」のこと。分譲マンションではエントランスホールやエレベーター、共用廊下、非常階段などを指します。意外な感じがするかもしれませんが、各住戸の玄関ドア、窓、バルコニーなども“建物の一部”として共用部分に含まれます。

■敷地利用権とは?

区分所有建物が建っている「土地を利用する権利」のこと。一般的な分譲マンションでは「土地の所有権の共有持ち分」のことを指しますが、地主から土地を借りてマンションを建てる定期借地権付きマンションの場合は、所有権ではなく「借地権」となります。

ここでの注意点は、区分所有を行う上で専有部分+共用部分+敷地利用権は“必ずセットになる”ということ。例えば、マンションの「敷地利用権」だけを残したまま「専有部分」や「共用部分」を別々に売ったり買ったりすることはできません。これは区分所有法第二十二条で定められた「分離処分の禁止」というルールに該当します。
※ただし、1983年よりも前に分譲された一部の中古マンションでは、建物と敷地を別々に売却できる「非敷地権」物件など権利関係が少々複雑なケースもあります。

【豆知識】登記簿謄本を見れば区分所有建物の詳細がわかる!

マンションの登記簿謄本には「共用部分に関する項目」「専有部分に関する項目」「権利に関する項目」が明記されており、主に以下のような内容を確認できます。

■共用部分に関する主な項目

・専有部分の家屋番号(マンションの中に何戸の専有部分があるかを示すもの)
・所在と名称(マンションの住所とマンション名を示すもの)
・構造と床面積(マンションの階数と各フロアの面積を示すもの)
・敷地権の目的たる土地の表示(マンションが建っている敷地の地目や面積を示すもの)

■専有部分に関する主な項目

・家屋番号(専有部分を識別するための番号のこと、基本的には住所の地番と同じ番号になる)
・名称と構造(名称はマンションの部屋番号、構造は専有部分の階数が表示される※一般的な住戸は1階建・メゾネット住戸の場合は2階建)
・床面積(内壁で囲まれた部分の内法面積で表示される※間取図では壁を中心にした壁芯面積で表示されることが多いため誤差がある点に注意)
・敷地権の種類と割合(一般的な所有権の場合は土地の持ち分の割合が示される※所有権の他には地上権・賃借権がある)

■権利に関する主な項目

・登記の目的と権利者その他の事項(過去の所有者から現在の所有者まで、権利変動の履歴が表示される)
・所有権以外の権利に関する事項(主に住宅ローンの抵当権について、ローン借入額や借入金融機関などが表示される)

この登記簿謄本は、区分所有建物の「履歴書」のようなもの。最寄りの法務局へ行けば誰でも取得可能で内容を確認することができます。

区分所有法では「管理組合への加入」も義務付けられている

もうひとつ覚えておきたいのは、区分所有者全員に「管理組合への加入」が義務付けられている点です。これは区分所有法第三条に基づくもので、マンションの区分所有者である限り、個人の意思で管理組合を脱退することはできません。

管理組合の運営にあたっては、区分所有者の中から立候補や輪番制で理事が選出され、月に一度のペースで「理事会」が開催されます。また、少なくとも年に一度の「総会」を開いて組合員に対し事務報告を行うことが義務付けられており、この総会で「管理規約の見直し」「共用施設の更新」「建物の修繕や建替え」といった重要な決議が採択されます。

なお、2026年4月1日から施行される「改正区分所有法」では、管理組合総会での決議の方法が次のように大きく変わります。

改正ポイント① 管理の円滑化

従来の区分所有法では、管理組合の決議を行う場合、総会を欠席する人や所在不明で連絡がとれない人も母数に含めて「区分所有者全員の多数決」によって採択されていました。しかし、改正後は欠席者を母数に含まず、「総会に出席した人(議決権行使書や委任状を出した人を含む)の多数決」によって採択されます。

つまり、日ごろから管理組合の活動に関心を寄せていないと「管理修繕費の見直し」や「次年度の予算計画」といった大切な決議が自分の知らないうちに進んでしまうこともあるわけです。マンションを購入したら“組合でいまどんな話し合いが行われているか?”について常にチェックするよう心がけましょう。
※ただし、管理組合の決議には「普通決議(一般的な決議)」と「特別決議(より重要な決議)」の2種類があり、管理規約の変更や共用部分の重大変更などの「特別決議」の場合は定足数として区分所有者及び議決権の過半数の出席が必要になります。

※1 マンションの管理・再生の円滑化等のための改正法(P11)/決議具体例より

改正ポイント② 再生の円滑化

築40年を超える「高経年マンション」のストック数は現在148万戸とされており、今後10年で2倍、20年で3.3倍に増加すると推計されています※3。そのため、建替えや取り壊し、一棟リノベーションといった「マンションの再生事業」に関する決議を迅速に進めていく必要があります。従来の区分所有法では、建替え等の重要な決議を行う場合、区分所有者全員かつ総議決権の5分の4の賛成が必要でしたが、改正後は所在不明の区分所有者を決議の母数から除外。以下の5つの客観的事由がある場合は、多数決割合が4分の3に引き下げられます。

■客観的事由
①耐震性の不足
②火災に対する安全性の不足
③外壁剥落などの危害のおそれ
④給排水等の腐食など衛生上有害となるおそれ
⑤バリアフリー基準への不適合

※2 マンションの管理・再生の円滑化等のための改正法(P16)/建替え決議の要件緩和より
※3 マンションの管理・再生の円滑化等のための改正法(P4)/ 【出典】建築着工統計等を基に推計した分譲マンションストック戸数及び国土交通省が把握している除却戸数を基に推計。

区分所有法は、所有者の権利を保護し快適な共同⽣活を守るため、建物の適正な管理と円滑な再生を促進するための法律

いかがでしたか?区分所有法の中でも大原則として覚えておきたい「専有部分」「共用部分」「敷地権利権」と「2026年4月施行の区分所有法改正」の主なポイントについて、おわかりいただけたでしょうか?

ちなみに、マンションのような区分所有建物では、火災保険や地震保険に加入するときも「専有部分」と「共用部分」をそれぞれ分けて契約することになりますが、共用部分の保険加入については、区分所有法第十八条で「共用部分の管理」とみなされ、契約の更新を行う際にも管理組合の決議が必要となります。

また、それぞれのマンションには、区分所有法に基づいてマンション独自の「管理規約」や「使用細則」が定められているため、区分所有者が順守すべきルールは多岐にわたります。

このように“みんなで所有する建物”だからこそ「それぞれの所有者の権利を保護し快適な共同⽣活を守るため、建物の適正な管理と円滑な再生を促進するための法律が定められている」ということを理解した上で、マンションの管理規約や使用細則についても再度見直しを行ってみましょう。

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