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加入は義務?任意?
マンションの管理組合と自治会の違いを解説

分譲マンションを購入すると、月々の住宅ローン返済に加えて、管理組合を良好な形で運営するための「管理費」、大規模修繕に備えて積み立てを行う「修繕費」等が必要になることは皆さんもご存知でしょう。しかし、地域の自治会へ支払う「自治会費」の存在については、意外に認識していない方が多いようです。そこで今回のジオプラットでは「管理組合と自治会の役割の違い」「管理費と自治会費の使い道の違い」について解説します。

似ているようで役割がまったく違う「管理組合」と「自治会」

■管理組合とは──マンションの区分所有者の団体で加入義務あり

分譲マンションでは、区分所有法第3条に基づいて建物や敷地・附属施設の管理を行うための団体をつくり、管理者を置くことができます。この場合の団体が「管理組合」であり、マンションを購入した区分所有者全員が「組合員」となります。

売却等で物件を手放した場合は自動的に組合員の資格が無くなりますが、賃貸運用などを行う場合は賃借人(物件を借りて入居した人)ではなく物件の持ち主が組合員としての資格を継続します。ちなみに、区分所有者である限り管理組合からの脱退は認められません。

■管理費とは──マンションを良好な状態で管理するための経費

管理組合では、各住戸の面積や付属施設に応じて「管理費」を算出し、区分所有者から毎月徴収します。管理費の額は物件によって設定が異なりますが、一般的には1㎡あたり200円~400円を目安に算出されることが多いようです。管理費は管理組合名義の口座で積み立てられ、共用部の清掃業務、共用部の光熱費、エレベーターや駐車場といった共用施設の保守点検費用等に充当されます。

■自治会とは──地域に暮らす人たちの団体で加入は任意

自治会には、町内会・区会・町会など様々な名称がありますが、総務省の定義によると「町または字の区域、その他市町村内の一定の区域に住所を有する者の地縁に基づいて形成された団体」とされています。もともと自治会のはじまりは1930年代の日中戦争の頃で、地域の人同士がお互いに助け合う「近隣共助」を目的に日本各地で発足しました。以降、令和の現在も防災訓練や公園・河川の清掃、防犯設備やゴミステーション等の設置・管理、広報物の回覧、氏神さまのお祭りなど、地域事業に関わる様々な活動が自治会単位で行われています。

なお、自治会への加入は任意。近年は都市部を中心に自治会へ加入しない世帯が増加傾向にあり、総務省のアンケートによると平均加入率は71.8%まで減少しています(令和3年※1)。ただし、自治会に加入しない場合、地域生活では不便なことも多々あるようです。
※1:総務省自治会等に関する市区町村の取組に関するアンケートとりまとめ結果

■自治会費とは──自治会を良好に運営するための経費

自治会費は各自治会で自由に定めることができ、毎月200円~2000円程度と金額は様々。自治活動を積極的に行っている住宅街では、月々の自治会費に加えて50万円の加入料が必要となる事例もあり、地域によってまったく事情が異なります。仮に、自治会への加入を断ったり、自治会費を滞納した場合は、「地域のゴミ収集所を使うことができない」「地域行事に参加できない」といった懸念のほか、「ご近所との良好なコミュニケーションがとりにくくなる」などのデメリットがあります。そのため、多くの分譲マンションでは「マンションの管理組合」として自治会に加入し、自治会費は毎月の管理費と一緒に区分所有者の口座から引き落とし。管理組合会計から自治会へまとめて支払う方法が一般的です。また、築年数の古いマンションでは管理組合の役員が各住戸を訪問し、広報物の回覧に合わせて自治会費を徴収する習慣も残っています。

マンション内で「自分だけ自治会に加入しない」は可能?

実は2016年に改正されたマンション標準管理規約の中では「管理費と自治会費の徴収・支出を分けて適切に運用することが必要」と明記されています。ただし「適切な峻別や代行徴収に係る負担の整理が行われるのであれば、自治会費の徴収代行やマンションの管理業務を連携して行うことも差し支えない」との指針が示されているため、「管理組合でとりまとめて自治会費を支払う」という流れが慣例化されている状態です。

自治会加入はあくまでも任意のため、いち個人として自治会からの退会(自治会費の支払い拒否)を申し出ることは可能ですが、マンション標準管理規約では「管理費等及び使用料の額並びに賦課徴収方法」について変更を行う場合「総会の決議を経なければいけない」とされています。少々面倒な手順ではありますが、自治会退会を希望する場合はまず管理組合へ議題の提起を行いましょう。なお、マンション全体で自治会から退会する場合も管理組合総会の決議が必要となります。

最近はマンション内で独自の自治会を立ち上げるケースも

いかがでしたか?既にマンションを購入された方の場合「自分は自治会に加入していない」と思い込んでいても、実は管理費の中に自治会費が含まれていたり、管理会社のスタッフが代行して自治会活動に参加しているケースもあるため、一度管理規約の内容を見直すと良いでしょう。また、これから分譲マンションの購入を検討している方は、自治会の有無や自治会費の金額・徴収方法について忘れずに確認を行いましょう。

なお、近年総戸数100戸を超えるような大規模マンションでは、管理組合とは別に「マンション独自の自治会」を立ち上げ、住民同士のコミュニティイベント等の活動を積極的に行う事例も増えています。地域の交流を深めたり、防災力を高める上で欠かせない組織と言われている自治会。加入・不加入については自治会の活動内容をしっかりと把握した上で検討しましょう。

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