寒い冬の季節は要注意 ! 突然起こるマンションの給湯器トラブル対処法
1月半ばから2月の節分までは、一年のうちで最も寒い「大寒」。気象庁が発表した3カ月予報によると、この冬の平均気温は全国的に「平年並みか低い」と予想されており、降雪量に関しては東日本・西日本で「平年並みか多い」とされていることから、今年は例年より厳しい冬になりそうです。そんな寒い一日の終わりには、暖かい湯船にゆっくり浸かるバスタイムが欠かせないという方も多いのではないでしょうか?冷え切った足先をじんわりとほぐし、体の芯から暖まるバスタイムは至福のひとときですが、実は真冬は給湯器故障が多発する季節。「お風呂に入りたいのにお湯が出ない!」というトラブルもこの時期少なくありません。そこで今回のジオプラットでは、「マンションの給湯器の調子が悪いときの確認手順」と「給湯器交換を考えるべきタイミング」について解説します。
真冬に給湯器故障が増えるのはなぜ?
真冬の季節は、お風呂のお湯張りやシャワーの給湯温度を高めに設定するという方も多いのでは?しかし冬の水温は夏と比べると平均して10度以上低くなるため、給湯温度を高めに設定していると、お湯の温度を上げるために大きな負荷がかかり、給湯器に不具合が起こりやすくなります。また、キッチンでの洗いものや朝の洗顔など家庭内でお湯を使う機会が増えることも、冬場の給湯器故障が多発する原因のひとつと言われています。
給湯器が故障する前には「お湯の温度が安定しない」「お湯が出るまでに時間がかかる」「お湯を出すと給湯器から大きな音がする」「給湯器からポタポタと水が垂れる」などの前兆が現れますから、こうした小さなサインを見逃さず、給湯器の異変に気づいたら以下の5つのポイントをチェックしてみましょう。
まずは自力復旧を試してみよう、自分でもできる5つのチェックポイント
①お湯だけが出ないのか?それとも水も出ないのか?を確認する
最初に確認したいのは「お湯だけが出ないのか?それとも、水も出ないのか?」ということ。蛇口をひねっても水が出ない場合は、マンション内の給水ポンプの電気系統に問題があったり、水道工事や点検等で一時的に断水されている可能性があるため、マンションの管理組合やコンシェルジュに確認を行いましょう。
②給湯器のリモコンのエラーを確認する
水は出るのにお湯だけが出ないときは、給湯器のリモコン(操作パネル)をチェックしてみましょう。機種によっても異なりますが、多くの場合3桁のエラーコードが表示され、自分で復旧できるエラーもあります。代表的なエラーコードは『111』という点火不良エラー(※1)。ガスメーターが遮断されていたり、ガス栓が閉まっている場合のほか、長雨などの影響で給湯器内の湿度が高くなった時に安全機能が作動してこのエラーが表示されることがあります。ガスメーターとガス栓に問題がなければ、しばらく時間をおいてからもう一度給湯を試してみましょう。
③キッチンのガスコンロや床暖房など、他のガス設備は問題なく使用できるか?確認する
エラーコードが表示されていない場合、キッチンのガスコンロや床暖房など「他のガス機器が問題なく使用できるか?」を確認しましょう。すべてのガス機器が使えない場合は、ガスの元栓が閉まっていたり、何らかの原因でマイコンメーターの安全装置が作動したことが考えられるため、ガス漏れ等の異常がないかを確認した上で復帰作業(※2)を行いましょう。また、他のガス機器が問題なく使えるのにお湯だけが出ない場合は「給湯器のリモコンスイッチが入っているか?」を確認しましょう。
④給湯器のコンセントを抜き差ししてみる
給湯器も家電製品のひとつ。温度管理などの給湯機能は基盤と呼ばれる電装ユニットでコントロールされているため、パソコンやスマートフォンと同じように一度電源を落としてみると、不具合が解消されることがあります。水道にもガスにも問題がない場合、コンセントを抜いて10秒程待ってから再度差し込み、基板をリセットしてみましょう。電源コードの位置は給湯器本体のすぐ近くにあります。
⑤給湯器の水漏れがないか?水抜き栓フィルターを確認する
コンセントを抜き差しをしても不具合が解消されない場合は、給湯器本体の不具合が考えられます。例えば、旅行や出張などで不在が多く長期間給湯器を使っていなかった場合、配管の水圧が上がって「水抜き栓」と呼ばれる部位から水漏れを起こし、一時的に動作不良となるケースがあります。また、水抜き栓のフィルターが目詰まりしていると、お湯が出にくくなるため、水抜き栓のフィルター部分を歯ブラシなどで水洗いしましょう。なお、一般的なマンションの給湯器の設置場所は、共用廊下側のMB(メーターボックス)の中、または、バルコニーの外壁部分となっており、水抜き栓は給湯器本体の底部にあります。
故障かな?と思った時は・・・マンションの居住形態によって相談窓口が異なるので注意を
上記の5つのチェックポイントを確認しても特に異常が見つからないのに、キッチン・洗面・お風呂などすべての蛇口からお湯が出ない場合は、給湯器本体の故障の可能性が考えられます。至急相談窓口へ連絡を行いましょう。ただし、相談窓口や連絡先はマンションの居住形態によって異なります。
■賃貸マンションの場合は「大家さん」へ、分譲マンションの場合は直接「ガス会社」へ
同じマンションでも、賃貸マンションと分譲マンションでは連絡先が異なります。賃貸マンション(賃貸居住)の場合は、給湯器の所有者が「大家さん」になるため、まずは大家さんか物件の管理会社へ連絡を。通常の経年劣化による故障であれば、大家さんや管理会社が修理費用を負担してくれます。一方、分譲マンションの場合は、「給湯器は専有部分であり、区分所有者の所有物」となるため、直接ガス会社に連絡すればOK。多くのガス会社は24時間・365日インターネットで修理申し込みが可能です。このとき「給湯器のメーカー」と本体に貼られているシール等に表示された「型番」「製造年月日」を確認して伝えると、故障の原因や対処方法をスピーディーに判断しやすくなります。なお、分譲マンションの場合は、マンション売主のアフターサービス窓口が設置されていることも多いため、「ガス会社に連絡するほどの故障ではないものの、ちょっとした不具合について相談したい」という場合はアフターサービス窓口を利用するのも良いでしょう。
給湯器の寿命は10年から15年が目安、交換なら15万円~30万円程度の予算がかかるため「給湯器貯金」をしておこう
一般的に給湯器のメーカー保証期間は1年~3年程度に設定されていることが多く、保証期間をすでに過ぎている場合は修理費として3万円~8万円程度が見込まれます。また、家庭用給湯器の場合、安全上支障なく使用できる設計標準使用期間は約10年~15年とされているため、寿命(耐用年数)を超えている場合は修理ではなく本体を交換したほうが長い目で見ても経済的です。
なお、交換にかかる費用は、追い炊き機能付きのオートタイプで30万円~40万円程度と高額になるため、まだ不具合が出ていない場合でも、将来の給湯器交換を想定して修繕費用を貯蓄しておくことをおすすめします。また、給湯器の交換は、供給ガス会社に対応してもらうのが最も安心で的確ですが、給湯器の本体価格や工事費用は割高になる傾向にあります。緊急性がなく、交換費用を極力抑えたい場合は、地域のガス設備会社数社から見積もりを取った上で検討してみるのも良いでしょう。
■日ごろから「給湯器の健康状態」を気にかけておこう
わたしたちの快適生活に欠かせない給湯器。耐用年数や故障の前兆などをあらかじめ覚えておけば、「寒い冬の夜に突然お湯が出なくなった!」というトラブルを事前に回避することも可能です。日ごろから給湯器の健康状態をチェックして早めの対応を心がけましょう。