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分譲マンションでペットと暮らす(後編) ~犬を飼う時の注意点や知っておきたいマナーとは?~

近年「ペット飼育可マンション」の増加に伴い、マンションで犬を飼う方が増えているようです。一般社団法人ジャパンケネルクラブの2021年調査「犬種別犬籍登録頭数(※1)」によると、登録数が最も多かったのはトイプードル(8万3221頭)、続いてチワワ(5万1837頭)、ミニチュアダックスフント(2万1310頭)となっており、マンション内でも飼育しやすい小型犬が人気を集めていることがわかります。そこで今回のジオプラットでは「分譲マンションでペットと暮らす(後編)」として、マンションで「犬」を飼う時の注意点や知っておきたいマナーをご紹介します。
※1:一般社団法人ジャパンケネルクラブ 犬種別犬籍登録頭数

マンション飼育に向いている犬の種類や性格は?

一般的な新築分譲マンションの飼育細則では、犬・猫共に「体長40~50センチ以内、体重10kg以内(成獣時の大きさ)」かつ「飼育頭数は原則2匹以内まで」とされているケースが多く見られます。特に犬の場合は、ほとんどの物件で「体重10kgを超える中型犬・大型犬の飼育は不可」とされているため、飼育できる犬種が限られている点に注意が必要です。初めて犬を飼うという方は、体長や体重以外にも以下の点を確認しながら「マンション飼育に向いている犬種かどうか?」をチェックしましょう。

①小型犬であること

多くの世帯が暮らすマンションの中には、当然ながら「犬が苦手な人」や「犬のアレルギーがある人」もいます。そのため、マンションの共用部では他の入居者との接触を避けるよう「犬をキャリー等に入れるか、抱いて移動すること」が飼育細則に盛り込まれています。こうした移動時のマナーを考えると、中型犬・大型犬の飼育は難しくなるため、管理規約で体重や体長が定められていない場合でも、小型犬を選ぶ人が多くなります。

②吠えにくい犬種を選ぶこと

同じ犬種でも犬によって性格は異なりますが、一般的に「ビーグル」や「コーギー」「ダックスフンド」「ジャックラッセルテリア」など、猟犬として改良された犬種は「鳴き声が通りやすくよく吠える」と言われています。また、警戒心の強い「ポメラニアン」は飼い主の留守中に不安を感じて無駄吠えすることも多いようです。こうした犬の鳴き声はペット可マンションであっても近隣住戸からの苦情になりやすいため注意が必要です。なお「トイプードル」「キャバリア」「マルチーズ」など賢くて大人しい性格の犬種や、「パグ」「フレンチブルドッグ」などの短頭種は性格が温厚で比較的吠えにくく、マンションと相性の良い犬種と言われています。

③体臭や抜け毛が少ない犬種を選ぶこと

小型犬は、大型犬と比べると比較的体臭が少ない傾向にありますが、被毛の特徴などによって体臭は変わります。犬の被毛には、長さが均一な「シングルコート」と、オーバーとアンダーの二重構造になった「ダブルコート」がありますが、一般的にシングルコートの犬種(トイプードル、マルチーズ、シーズーなど)のほうが体臭は発生しにくく、抜け毛が出にくいとされています。窓や玄関を開けたときにニオイが広がったり、お隣のバルコニーの洗濯物に抜け毛が付着するとトラブルの原因となるため、日ごろからのシャンプーや、サロンでのグルーミングなどのお手入れをしっかりと行いましょう。

マンションで犬を飼う時に気を付けたい「共用部」でのマナーとは?

住戸から外へ出ることのない猫と違って、犬は朝夕のお散歩が日課となるため、マンションの共用部で他の入居者の方と接する機会が多くなります。共用部を移動する時は以下のマナーを心がけましょう。

①共用部では必ずキャリーケースに入れるか抱っこをする

前述の通り、マンション内には犬が苦手な人やアレルギーを持つ人もいます。廊下、エレベーター、エントランス、アプローチ、駐車場などの共用部では、必ずキャリーケースに入れるか、抱っこをして移動するようにしましょう。このマナーを心がけることでマンション館内でのマーキングや排せつ行為を防ぐことができます。

②他の入居者とすれ違う時は犬の顔を反対に向ける

他の入居者と遭遇すると、興奮して吠えだす犬も少なくありません。エレベーター内では犬の顔を壁側に向ける、廊下ではすれ違う人と反対側にキャリーを持つ、などの配慮を行いましょう。

③バルコニーに犬を出さない

バルコニーで日向ぼっこをしながらグルーミングやトリミングをするのはNG。ペットの被毛が風にのって上下階の洗濯物や網戸に付着したり、排水溝を詰まらせてしまうことがあります。

④お散歩から帰ったら足洗い場でキレイにする

近年の「ペット飼育可」マンションでは、多くの場合エントランスサイドに「ペットの足洗い場」が設置されています。お散歩から帰ったあとは、ペットの足を洗って清潔にしてから館内へ入るようにしましょう。なお、足洗い場をビショビショに濡らしたり、抜け毛が排水溝に詰まった状態で立ち去るのはマナー違反。水を溜めておける折り畳み式バケツや、足拭き用のタオル、ゴミ袋などをお散歩グッズに追加しておくと便利です。

犬にとっても「居心地の良い住まい」にするために気を付けたいことは?

マンションの場合は一戸建てと違って「室内飼い」が原則となります。愛犬にとっても「心地良く過ごせる住まい」にするためには次のような工夫が必要です。

●ケージの置き場所を工夫する

犬は縄張り意識が強い動物のため、「自分の居場所(ケージ)」が縄張りの中心にあると落ち着きやすくなります。また、一緒に暮らす家族のことを「自分の群れ」と考えているため、家族全員が集うリビングは犬にとって安心できる場所になります。こうした犬の習性を意識しながらケージの置き場所を工夫しましょう。逆に、玄関の近くや窓の近くだと犬がリラックスできず、吠え癖につながる場合があるため注意しましょう。

●トイレの置き場所を工夫する

子犬のうちはケージの中にトイレを設置するとトイレトレーニングを行いやすくなります。成犬になったら、リビングの隅や洗面所、浴室など、犬の縄張りの中でも「目立たない場所」「静かな場所」に設置すると良いでしょう。

●床の防音性・防滑性を工夫する

犬が興奮して飛び跳ねる音や、爪でフローリングを引っ掻く音など、階下に足音が伝わってクレームになることがあります。ケージのまわりにはクッション性のあるフローリングマットを敷いて防音に配慮しましょう。またフローリングはツルツルして滑りやすいため、マットを敷いておけば愛犬の怪我や事故を防ぎやすくなります。

●お部屋の温度を工夫する

犬の皮膚には人間のような汗腺がないため、口を開けてハァハァと呼吸をしながら体温調節を行っています。そのため留守宅での真夏の暑さや真冬の寒さは、体温調節が苦手な犬にとって大きなストレスとなります。特に小型犬は温度変化に弱いため、直射日光をカーテンで遮ったり、エアコンを自動運転にしておくなど、温度変化の少ない環境づくりを心がけましょう。

●「吠える理由」に合ったしつけ方を工夫する

マンション内のペット飼育トラブルで最も多いのは「吠え声」に関する苦情です。犬が無駄吠えをするのは「恐怖心・警戒心・興奮・要求」といった気持ちを伝えるためですが、成長すればするほどしつけが難しくなります。犬に吠えるのをやめさせるためには、頭ごなしに叱るのではなく、まずはなぜ愛犬が吠えているのか原因を探るところからはじめ、それぞれの原因にあったしつけ方をすることが大切です。

周辺環境についても事前に確認を。「愛犬との楽しい暮らし」をはじめよう

いかがでしたか?今回ご紹介したポイント以外にも、マンション周辺の公園や緑道など、愛犬と安心してお散歩できるコースを引っ越し前に確認しておくことをおすすめします。マンションは多くの世帯が暮らす集合住宅。まずは飼育細則やマナーの徹底を意識しながら、愛犬との楽しい暮らしをはじめてみてくださいね!

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