大規模マンションVS小規模マンション、住むならどちらがオススメ?
それぞれのメリット・デメリットを検証!
マンションを選ぶときは、どうしても「立地・住環境」や「広さ・間取り」が優先条件になるため、検討当初から「マンションの規模」について注目している方は意外に少ないようです。しかし、マンションは規模の違いによって「入居後の住み心地」や「ランニングコスト」が大きく変わってくるため、それぞれの特性を知った上で検討することが大切です。そこで今回のジオプラットでは「大規模マンションVS小規模マンション」と題し、それぞれのメリット・デメリットについて検証します。
大規模?小規模?マンションの規模は「総戸数」によって分類される
マンションの規模は、物件の総戸数によって分類されます。これは法的に定義づけられているものではありませんが、一般的には
●小規模マンション・・・・・・総戸数50戸未満
●中規模マンション・・・・・・総戸数50戸以上100戸未満
●大規模マンション・・・・・・総戸数100戸以上
を目安として分類されることが多いようです。
ただし、最近は大都市圏を中心に300戸を超えるような超・大規模マンションが続々と登場しており、地域によっては規模の概念が変わりつつあります。そのため、当記事内では「100戸未満」を小規模マンション、「100戸以上」を大規模マンションと定義づけて解説します。
■敷地の広さと用途地域によって規模が変わる
マンションの規模は「敷地の広さ」と「用途地域」の組み合わせによって変わってきます。例えば、同じ広さの敷地であっても、その土地の用途地域が「低層住居専用地域」に該当する場合は背の高い建物が建てられず、地上2~3階建て程度の小規模低層マンションとなることがあります。一方、最近急増している地上20階建て以上のタワーマンションは、賑やかな「商業地域」や再開発が進む「準工業地域」などに該当していることが多く、容積率や高さ制限の緩和を受けて階層を積み上げることで大規模高層マンションとなります。つまり、マンションの規模の違いは「周辺の住環境の違い」にも直結するため、とても大切なチェックポイントとなります。
大規模マンションのメリットは──華やかな共用施設が充実、ホテルライクな暮らしを実現
大規模マンションのメリットは、何と言っても巨大な建物ならではの「ビッグスケール感」。まるでホテルのようにゴージャスな車寄せ付きエントランスやコンシェルジュサービスのほか、美しいラウンジスペース、テレワークにも対応できるライブラリー、キッズルーム、ゲストルーム、スポーツジムなど、大空間を活かして多彩な共用施設を採り入れた物件も多く見られます。このように共用施設が充実している大規模マンションは、当然ながら管理・修繕費が高くなりますが、多くの世帯でその費用を按分することで、負担を軽減しやすくなる点も利点です。
また、マンションは「あんなステキなところに住んでみたい!」と憧れの視線を集めることで、築年数を経た後も物件の価値を維持しやすくなります。その点、迫力の存在感を放つ大規模マンションなら、多くの人の目にとまりやすく、安定した住まいニーズを獲得できるため、将来の「売る・貸す」といった検討もしやすくなります。
【大規模マンションの主なメリット】
●多彩な共用施設が揃っており、入居後の充足感が高い
●管理・修繕費を多くの世帯で按分でき、費用対効果としての割安感がある
●様々な住戸プランが揃っているため、多様な世代が暮らしやすい
●建物の存在自体が注目を集めることで、資産としての価値を維持しやすい
大規模マンションのデメリットは──移動に時間がかかるほか、管理組合運営が難しくなることも
一方、大規模マンションのデメリットは「マンション内の移動に時間がかかることがある」ということ。特に広大な敷地が広がる団地型の大規模マンションは、メインエントランスから自宅玄関まで3分以上かかるケースも少なくないため、小さなお子さんがいるご家庭や、シニア世代の方は購入前に「エントランスやエレベーターホールから玄関までの距離」を必ず確認するようにしましょう。また、タワーマンションの場合は、平日朝の時間帯にエレベーターが大混雑することもあります。駅までの所要時間にプラスして館内移動の時間がかかることを覚えておきましょう。
もうひとつ、大規模マンションの課題とされているのが「管理組合運営の難しさ」。管理組合で重要な議案が挙がった場合、普通決議では半数以上、特別決議では4分の3以上の組合員の賛成が必要になりますが、世帯数が多くなればなるほど、管理組合に無関心な人の割合が増え、健全な組合運営が困難になるケースもあるようです。こうした課題を回避するためにも、住民同士のコミュニティ形成が良好なマンション(新築物件の場合はコミュニティ形成への取り組みが計画されているマンション)を選ぶようにすると良いでしょう。
【大規模マンションの主なデメリット】
●マンション内の移動距離やエレベーター待ちに時間がかかることがある
●世帯数が多いため、住民同士の人間関係が希薄になったり、逆にグループ化で面倒なこともある
●管理組合に無関心な人が増えると、健全な運営が行えなくなることがある
小規模マンションのメリットは──静かな戸建てエリアや便利な駅近立地に登場することが多い
小規模マンションのメリットは「良好な住環境」。特に、低層の小規模マンションは緑に囲まれた閑静な住宅地に立地していることが多いため、「公園に近い」「小中学校に近い」など子育てに適したのびやかな住環境を希望する方にぴったりです。また、中高層の小規模マンションは、1フロアあたりの住戸数が少なくなることで角住戸率が高くなり、各家庭のプライバシーを保護しやすくなります。便利な駅近立地に登場するケースも多く、シングル・DINKSなど生活利便性を重視したい方にもオススメです。
さらに、世帯数が少なくなると入居者同士の距離が近くなり「顔の見えるお付き合い」がしやすくなる点も魅力。防犯面でも心強さが感じられるほか、管理組合の合意形成も行いやすくなるため、健全な状態でマンションを維持・管理しやすくなります。
【小規模マンションの主なメリット】
●低層なら静かな住宅街、中高層なら便利な駅近など、良好な立地に登場することが多い
●ワンフロアあたりの住戸数が少なくなるため、住戸のプライバシーを守りやすくなる
●入居者の顔が見える安心感がある
●管理組合の合意形成を行いやすく健全に運営しやすい
小規模マンションのデメリットは──少ない世帯で管理・修繕費を賄うため負担が大きくなることも
一方、デメリットとして挙げられるのは「管理費の負担が大きくなるケースがある」という点です。これはすべての小規模マンションに当てはまるわけではありませんが、物件規模に対して、過剰な共用施設が設けられているマンションの場合、少ない世帯でその管理・修繕費を賄わなければならないため、築年数が経過するほど一世帯あたりの負担が大きくなります。長期的なランニングコストを軽減するためには、共用スペースが極力シンプルに設計された小規模マンションを選ぶと良いでしょう。
また、小規模マンションでは、一部入居者の「管理・修繕費の長期延滞」が続いた場合、組合の収入が激減して大規模修繕の内容を見直すことになったり、館内の定期清掃など一部のサービスが削減されてしまうケースもあります。もちろん、こうした管理組合運営のトラブルはどのマンションでも起こりうる課題ですが、世帯数が少ない小規模マンションのほうが、より影響が大きくなることを覚えておきましょう。
【小規模マンションの主なデメリット】
●一世帯あたりの管理・修繕費を抑えるために、共用施設が簡素化された物件が多い
●万一管理・修繕費の長期延滞が続くと管理組合へのダメージが大きくなる
●築年数が経つと、コスト削減のため一部サービスが削減されることもある
自分が本当に心地よいと感じるマンション規模を
いかがでしたか?大規模マンションも、小規模マンションも、それぞれにメリット・デメリットがあります。大きく分類すると「多彩な共用施設に囲まれながらホテルライクな暮らしを楽しみたい」という方には大規模マンション、「静かな環境でのびのびと暮らしたい」というファミリーや「駅近でコンパクトに効率よく暮らしたい」というシングル・DINKSの方には小規模マンションがオススメと言えそうです。
立地や間取りだけでなく、物件規模にも注目しながら“自分が本当に心地よいと感じるマンション”を探してみるのも良いですね。