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次世代の省エネ基準をクリアしたマンション、
「ZEHマンション」の性能とメリットについて解説!

みなさんはZEH(ゼッチ)という言葉をご存知ですか?ZEHというのはnet Zero Energy House(ネット・ゼロ・エネルギー・ハウス)の略で、断熱性能や省エネ性能を高めることで「年間のエネルギー収支をゼロ以下にする家」という意味があります。ZEHの導入は「2050年カーボンニュートラルの実現」に向けた経済産業省・国土交通省・環境省の三省連携の国家的な取組みの中で、2030年までに「すべての新築住宅・建築物においてZEHを標準化する」との政策目標が掲げられています。これから住まい選びを行う上で、重要なキーワードとなるZEH。今回のジオプラットでは、ZEHの集合住宅版である「ZEH-M(ゼッチマンション)」の基礎知識について解説します。

「ZEH-M」がスタートしたのは2018年から

もともと「ZEH」は、2008年頃からアメリカで注目されるようになったエコワード。民間レベルでも取り組むことができる新しい省エネの形として、その後世界の先進国へと広まっていきました。

日本では2014年に閣議決定された「エネルギー基本計画」を受けて、まずは戸建て住宅からZEHの導入がスタート。その後、2018年には集合住宅版の「ZEH-M」が新設され、マンションも補助金制度の対象となったことから、大手デベロッパーの新築マンションを中心にZEH-M認定物件が登場するようになりました。

ただし、現在はまだ「2030年のZEH標準化」に向けた準備段階にあるため、新築マンションの中にも、ZEH水準を満たすマンションと、ZEH水準に満たない非ZEHマンションが混在しています。

ZEHマンションと非ZEHマンションの性能の違いとは?

ZEHマンションの性能には、大きく分類すると次の3つの優れた特徴があります。

■断熱性能

建物外皮の断熱性を高めることで外気温の変化による影響を受けにくくなり、年間を通して冷暖房の負荷を軽減できる

■省エネ性能

エコジョーズ(高効率給湯器)や節水型水栓、LED照明などを採用することで、各住戸の一次エネルギー消費量を抑えることができる

■創エネ性能

太陽光発電を導入することで、共用部等の電力の一部を自家発電で賄うことができ、マンション全体でCO2排出量を削減できる

なお、非ZEHマンションの中には、旧省エネ基準(1992年基準)程度の性能しか有しないマンションも存在しています。2022年「建築物省エネ法」改正に伴い、2025年からは「断熱等性能等級4」「一次エネルギー消費量等級4」以上が義務化されるため、それらのマンションは将来的には「省エネ基準を満たしていないマンション」として評価されてしまう可能性があります。さらに、前述の通り2030年には「ZEH水準(断熱等性能等級5以上・一次エネルギー消費量等級6以上)を標準化する」との目標が掲げられており、今後マンションの省エネ基準はより高い水準を求められていく可能性があるため、現行の省エネ基準(断熱等性能等級4、一次エネルギー消費量等級4)を満たすマンションであっても、将来的には同様の評価を受ける可能性も十分考えられます。そのため、標準化よりも一足早く、次世代基準の性能をクリアしている「ZEHマンション」の存在が、いま注目を集めているのです。

覚えておきたい、ZEHマンションの4つの種類

ZEHには明確な認定基準が定められており、その基準数値をクリアした住宅だけが「ZEH認定」を受けることができます。しかし、日本は北海道から沖縄まで気候や日照条件の差が大きく、全国統一の基準で公平に診断することは困難。また、タワーマンションのような縦に細長い建物の場合、屋上に太陽光パネルを設置しようとしてもスペースが限られてしまうことから、再エネの導入が難しいケースもあります。

そのため、「強化外皮基準(建物の壁や断熱材など外皮の断熱性能)」は寒冷地から温暖地まで7つの地域に区分。更に、再生エネルギーの有無や一次エネルギー消費量削減率によって、4つに分類され、それぞれの基準値に合わせてZEH認定が行われます。基準値の算出方法はかなり専門的になるためここでは割愛しますが、「ZEH-M」の4つの分類については、以下の通り通称と性能の違いを覚えておくと良いでしょう。

●『ZEH-M』・・・一次エネルギー消費量削減率20%以上、再エネを加えた場合の削減率が100%以上のマンション
●Nearly ZEH-M・・・一次エネルギー消費量削減率20%以上、再エネを加えた場合の削減率が75%以上100%未満のマンション
●ZEH-M Ready・・・一次エネルギー消費量削減率20%以上、再エネを加えた場合の削減率が50%以上75%未満のマンション
●ZEH-M Oriented(新築マンションで最も多いタイプ)・・・一次エネルギー消費量削減率20%以上、再エネの導入は必要ないマンション

ZEB_ZEH‐Mの普及促進に向けた今後の検討の方向性について

ZEHマンションを選ぶメリットとは?

次世代のスタンダードとして注目を集めているZEHマンションですが、実際の生活にも様々なメリットがあります。

①一年を通して心地よい住空間で暮らせる

断熱性を高め、室内の温度差が小さくなることで、ヒートショックなど家庭内事故のリスクを軽減。また、外気温の影響を受けにくいため結露が発生しにくくなり、カビやダニの発生を防ぎやすくなります。

②光熱費を軽減して家計を節約できる

高断熱・高気密構造のおかげで、温めた(冷やした)室内温度が元に戻りにくい保温効果があるため冷暖房の使用回数が減り、光熱費節約につながります。

③家庭からのCO2排出量を削減できる

家庭から排出されるCO2のうち、多くを占めているのが給湯・暖房・冷房(全体の49.3%※1)。中でも最も負荷が高い給湯設備を高効率化することでCO2の排出量を低減。地球にやさしい住まいが実現します。
1:環境省「令和3年度家庭部門のCO2排出実態統計調査」より

④住宅ローン金利・住宅ローン減税で優遇措置が用意されている

ZEHマンションを購入して住宅ローンを借り入れる場合、当初数年間金利引き下げとなる「特別優遇金利」が適用されるケースも。また、「住宅ローン減税」では、控除対象となる借入限度額が、通常の省エネ基準適合住宅よりも500万円増額されます。※2
※2024年6月1日時点の情報で今後変更となる場合がございます。
2:住宅ローン減税の概要について(令和6年度税制改正後)より

⑤補助金が受けられるケースもある

ZEHマンションでは、高性能断熱材や高効率給湯器など従来よりも性能の高い建材・設備が導入されているため、どうしても建設費はコスト高になります。しかし、ZEHデベロッパーに登録されている事業者に対しては、戸数に応じて国からの補助金が交付されるため、建設費の一部に補填されています。また、ZEHマンション購入者も、「子育てエコホーム支援事業(ZEH水準で最大80万円/戸)」のほか、自治体が独自に制定しているZEH補助金を受けられるケースもあります。※3
※2024年6月1日時点の情報で今後変更となる場合がございます。
3:子育てエコホーム支援事業

⑥長期的にマンション評価を維持しやすくなる

国の方針として2030年の標準化を目指しているZEH。その性能を現時点でクリアしているZEHマンションなら、今後築年数を経て中古物件になった後も時代遅れの性能になりにくく、「マンション評価=資産価値」をより長く維持しやすくなります。この点は、売却時に評価の優位性を保ちやすくなるだけでなく、お子さんやお孫さんへ受け継ぐ不動産資産としても重視したいポイントです。

《ジオ》では2024年度以降すべての新築物件をZEH水準へ

いかがでしたか?ZEHマンションの基礎知識について、おわかりいただけたでしょうか。なお、阪急阪神不動産では、2024年度以降に販売開始するすべての《ジオ》を「ZEH-M Oriented」以上とするなど省エネルギー・脱炭素社会を目指して、ZEH化を積極的に進めています。「SWITCH TO ZEH」の中でもZEHについて詳しく解説していますので、以下のリンクからぜひご覧ください。
https://geo.8984.jp/geo/zeh/

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