マンションの虫対策、
害虫の主な侵入経路と撃退法を解説!
平均気温が20度を上回り、平均湿度が60%を超えると虫たちの活動が活発に。そして、気温30度超えの真夏日が続くようになると、虫たちの動きは鈍くなると言われています。つまり、梅雨明け前のこの時期は、一年で最もマンション内で虫と遭遇しやすくなる季節なのです。もともとマンションは、木造一戸建てより気密性が高く、虫の侵入経路が少ない構造になっていますが、わずかなすき間を狙って侵入してくるのがやっかいな害虫たち──そこで今回のジオプラットでは害虫の主な侵入経路と、侵入を防ぐための防虫対策について解説します。
同じマンションでも「虫が出にくいマンション」がある?!
マンションの中にも「虫が出にくいマンション」と「虫が出やすいマンション」があることをご存知でしょうか?虫が苦手という方は、まず住まい探しを行う時点で「虫が出にくい条件」のマンションを選ぶようにしましょう。
【虫が出にくいマンションの条件とは?】
●新築または築浅であること
まだ新しいマンションは給排水管等の汚れが少なく、サッシや網戸も劣化していないため、外部から虫が侵入しにくくなります。
●公園・森・池・川に近接していないこと
公園や森に近いマンションは、緑の景観が美しく一般的には好まれる条件ですが、実は周辺の湿度が高く、ハエや蚊などの害虫が発生しやすくなる傾向があります。「虫と遭遇したくない」という方は、緑や水辺に近いマンションは避けたほうが良いでしょう。
●中・高層階の住戸であること
虫が自力で飛べる高さは10m程度までと言われており、マンションの階数に当てはめると3階程度の高さに相当します。そのため中・高層階の住戸を選べば虫との遭遇率はかなり低くなります。ただし、偶然上昇気流にのって上の階へ到達する虫もいるため、窓の開け放し等には気を付けましょう。
●管理体制が整っていること
マンションの管理体制も重要なポイント。共用部のゴミ置き場にも空調が完備され、管理スタッフが常駐または日勤で清掃業務を行っているマンションであれば、ゴミ置き場が常に清潔に保たれ、マンション館内の害虫の発生を防ぎやすくなります。
●店舗を併設していない物件であること
同じ建物内にコンビニや飲食店が入っている店舗併設のマンションでは、店舗の排気口の油や残飯などを好むハエやゴキブリが発生しやすくなります。また、飲食店に隣接している物件も要注意。住まい選びの時は、周辺の建物の衛生環境についても必ず確認しましょう。
マンションに侵入しがちな害虫と、その主な侵入経路を知っておこう
マンションに侵入する3大害虫といえば「ゴキブリ・蚊・コバエ」。その害虫たちがどこから入ってくるかを知っておけば、侵入を防ぐことも可能です。
●ゴキブリの主な侵入経路とは?
ゴキブリはあの長い触角を使って水やエサがある場所を常に探しており、ほんの数ミリの隙間があれば玄関や窓、換気扇やエアコン室外機のドレンホースなどから侵入します。また、足からは粘着質の液体が分泌されるため高いところへ上るのも得意。マンションでは住戸内の給排水管やバルコニーの排水管を伝って上層階へ上がってきます。
●蚊の主な侵入経路とは?
日本国内には100種類以上の蚊が生息していますが、人間の血を吸うのはそのうち3割ほどで、産卵を控えたメスだけ。人間の呼気に含まれるCO2を最長10m先から感知し、玄関・窓・換気扇・排気口などから侵入します。「網戸を閉めていても蚊が入ってくる」という場合は窓のフレームに問題があるかも。網戸の縦框(たてがまち)が劣化して隙間ができていたり、窓を半開きにすることで網戸と窓のフレームの間にわずかな隙間が生じ、そこから侵入している可能性があります。換気目的で窓を開けているご家庭も多いと思いますが、窓の半開き状態には注意が必要です。
●コバエの主な侵入経路とは?
コバエも蚊と同様に玄関・窓・換気扇・排水口などの隙間から侵入します。中でも、マンションへの侵入経路として意外に多いのが「観葉植物の土の中」に紛れているケース。観葉植物の土には、植物に栄養を与えるための堆肥や腐葉土などが配合されていることが多く、そこにコバエの卵が産み付けられたまま室内に運び込まれ、孵化してしまうことがあります。土に混ぜる虫よけ薬剤などを活用して防虫対策を行いましょう。
【他にも最近マンションで問題になっている害虫たちが】
●カメムシ
カメムシは主にスギやヒノキの果実に卵を産み付けるため、春先にスギやヒノキの花粉が大量に飛散すると球果量が増え、カメムシが大量発生すると言われています。特に5月~8月はカメムシの産卵期となり、バルコニーに置かれたガーデニングの草木や受け皿の水たまりなどを求めて飛来します。洗濯物についていることに気づかず室内へとりこんでしまうと、後ろ足の付け根からあの独特の嫌なニオイが放出されますが、空きペットボトルなどの容器を上からかぶせて密閉すると、カメムシは自分の悪臭で失神し、動かなくなります。なお、カメムシは絶対に掃除機では吸わないこと。一度吸い込むと掃除機のダストカップにニオイがしみついてなかなか取れなくなります。
●タカラダニ(赤ダニ)
春から梅雨明け前にかけてマンションのコンクリート壁に発生する小さな赤い虫がタカラダニ(赤ダニ)。花粉を好むダニで人体への悪影響はありませんが、誤って潰してしまうと布団や洗濯物に真っ赤なシミがついてしまうため、厄介な害虫とされています。バルコニーで見つけたときは水をかけて駆除を。万一室内で見つけたら、潰さないように力を加減しながら粘着テープで駆除しましょう。
主な侵入経路は「開口部・水まわり・ダクト」の3つ、それぞれの入口で防虫対策を!
このように害虫には様々な侵入経路がありますが、大きく分類すると「開口部」「水まわり」「ダクト(空気の通り道)」の3つが入口となります。それぞれの侵入経路の入口で防虫対策を行っておけば、虫との遭遇率はかなり低くなります。
●開口部・・・玄関・窓など
玄関や窓からの侵入を防ぐためには、市販の防虫剤が効果的です。ドアノブやバルコニー手すりに引っ掛けるタイプのもの、網戸に直接張り付けるタイプのもの、外壁に吹付ける防虫スプレーなどもあるため、それぞれの薬剤の特性を確認した上で対策を行いましょう。また、バルコニーで観葉植物を育てている場合は、プランターの受け皿の水を好んで害虫たちが集まるため要注意。虫が苦手な香りを発する「タイム」や「カレンソウ」「レモンユーカリ」などのハーブを一緒に育てると虫よけになります。
●水まわり・・・キッチン・洗面・洗濯機置き場など
しっかり対策を行えば最も防虫効果が出やすいのが水まわりです。マンション内では、キッチンのシンクやコンロの下、洗面化粧台の下、洗濯機置き場の下など給排水設備に近いところがゴキブリの通り道となるため、ホウ酸ダンゴなど市販の駆除剤を配置しておきましょう。ひとつ注意したいのは「排水トラップ」の封水切れ。排水トラップの中には通常「封水」と呼ばれる水が溜まっており、虫の侵入や悪臭の発生を防ぐ仕組みになっていますが、気温が高い夏の季節は水が蒸発しやすくなり、封水切れを起こしてそこから害虫が侵入することがあります。排水口には定期的に水を流すなどして封水切れ対策を行いましょう。なお、水を流しても排水口からずっと嫌なニオイが漂ってくる場合は排水トラップの故障が考えられるため、一度専門業者に確認してもらうことをおすすめします。
●ダクト系・・・通気口、室外機ドレンホースなど
マンションには部屋の内側と外側をつなぐ「通気口(給排気口)」が設置されており、玄関ドアや給湯器の近くの壁面を見るとぽっかりと丸い穴が開いています。通常はフィルターが設置されていますが、破損していたり目が粗いものだとそこから害虫が侵入します。改めて通気口の状態を確認し、市販の防虫フィルターなどを活用しましょう。また、意外に見落としがちなのが「エアコン室外機のドレンホース」です。室外機から排出される結露水を好んで害虫たちが集まり、ホースを伝ってエアコン内部へ侵入し、エアコンの吹出口から害虫が飛び出してくることもあります。ドレンホースからの侵入を防ぐ「防虫キャップ」は100均ショップでも購入できるため、エアコンの本格稼働時期を迎える前に早めに対策を行いましょう。
まずは害虫に好まれる環境をつくらないことが大事
いかがでしたか?様々な害虫侵入対策をご紹介しましたが、最も効果的な方法は「害虫に好まれる環境をつくらない」ということ。例えば、キッチンのシンクや排水口のヌメリを放置しておくとそのニオイに誘引されて害虫たちが集まってくるほか、バルコニーにゴミや枯れ葉が落ちたままになっていると雨水が溜まりやすくなり、害虫にとって恰好の繁殖場所となります。上記でご紹介した「3つの侵入経路」を中心に日ごろからこまめな清掃を心がけ、害虫が出にくい住まいづくりを目指しましょう。