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戸建てからマンションへ、住み替え検討をする前に知っておきたいポイントは?

50代以降の男女を対象に実施した「高齢期における住み替え意向に関する把握調査(※1)」によると、持家戸建てから分譲マンションへの住み替えを希望している人は35.4%、賃貸マンションへの住み替えを希望している人は25.3%となっており、「戸建てからマンションへの住み替え意向」を持っている人が全体の約6割を占めることがわかりました。長年住み慣れた郊外の戸建て住宅を売却し、都心のマンションへ引っ越す「都心回帰」の傾向は1990年代後半から始まり、現在も住まい選びのトレンドとして継続しています。そこで今回のジオプログレスでは「戸建て」から「マンション」への住み替え・買い替えを検討する際に知っておきたいポイントについて解説します。

※1:不動産流通経営協会(平成24年6月調査) 住替え意向参照 P2より:
https://www.frk.or.jp/suggestion/files/h24koureisumikae.pdf

戸建てからマンションへの住み替え、その理由は? 

同調査によると、戸建てからマンションへの住み替えを希望する理由は、「今の家が古くなってきたから」という回答のほか、「子どもが独立して夫婦だけで住むには広すぎるから」「駅に近く買い物が便利な利便性の高い場所で暮らしたいから」「病院や高齢者向けケア施設が近くにある場所で暮らしたいから」「バリアフリーの住宅に住み替えたいから」といったシニア世代ならではの回答が多くを占めました。これらの回答は、若い世代のファミリーにとっても、20年後、30年後に直面する可能性が高い課題なので、今のうちからシニア期のライフスタイルの変化を想定して住まい選びを行っておきたいものです。

戸建てにはない「マンション生活のメリット」とは?

ここからは戸建てからマンションへ住み替えた場合の「暮らしのメリット」について考えてみましょう。

①庭の草取りや外まわりの掃除が不要になる

子育て期は広い庭付きの戸建てに憧れるものの、シルバー世代になると多くの方が庭や外構の手入れに大きな負担を感じるようです。真夏の炎天下での草取りや、冬の落ち葉拾いなど住まいの美観を維持するためには手間のかかる作業が少なくなありません。その点マンションの場合は、エントランスや外構など共用部の清掃は管理会社がおこなってくれるため、草取りやお掃除は不要(ただし専用庭などの専有部は除きます)。また、24時間ゴミ出しOKの物件も多く、美観維持のための手間がかかりにくい点はマンション生活ならではのメリットです。

②断熱性・耐震性・耐久性など構造への安心感

特に冬の季節に実感するのが「住まいの断熱性」の違い。戸建ての場合は、天井・壁・床のすべてが外気に接することになるため熱が逃げやすくなりますが、マンションの場合は外気に接する面が少なく、断熱性や保温性が高くなります。また、マンションでは事前に地盤のボーリング調査を行い、強固な支持層まで杭を打ち込むことによって建物全体を支えているため、耐震面での安心感があります。ちなみに、木造戸建ての法定耐用年数は22年、鉄筋コンクリート造マンションの法定耐用年数は47年。この年数の違いから見ても、「住まいの価値をより長く維持しやすい」と考えられる点はマンションの強みでもあります。

③バリアフリー設計で安心・安全に暮らせる

シニア世代に限らず、小さなお子さんのいるご家庭でも重視したいのは「バリアフリー設計」について。戸建ての場合、玄関のアプローチに数段の階段が設けられていたり、洗面や浴室などの水まわりスペースに大きな段差があったり、2階へ上がる階段が急こう配だったりと「段差箇所」が多く見られます。健常時にはなかなか気づきにくいものですが、小さなお子さんや年配の方にとっては、このちょっとした段差が「家庭内事故」につながりやすくなります。近年のマンションでは、エントランスや水まわりもバリアフリーの設計になっているため、歩き始めたばかりのお子さんや車椅子を利用するお年寄りの方も安心して暮らすことができます。

④いつも見守ってもらえる安心感がある

戸建てにセキュリティシステムを導入すると毎月大きなコストがかかりますが、マンションなら多くの世帯でセキュリティ管理をおこなうことになるため、少ないコストで先進のセキュリティシステムを導入可能。旅行・出張・入院など長期不在の時も「我が家を見守ってもらえる安心感」があります。また、コンシェルジュサービスのあるマンションでは、宅配便やクリーニングの取り次ぎ、タクシーの手配などもスタッフが対応してくれるため、ホテルライクな快適生活が実現します。

⑤防災時の共助活動もスムーズに行える

近年のマンションでは、各住戸に「防災備品」が備えられていたり、簡易トイレや発電機、救護用担架などを保管する「防災備蓄倉庫」が設けられている物件が多いため、万一の災害時にはマンションの住民同士で連携して共助活動を行える心強さがあります。また、マンション内の入居者を対象にしたイベントやサークル活動などを定期的に行っている事例もあり、「住民同士が緩やかにつながるコミュニティ」もマンション生活ならではの魅力と言えるでしょう。

戸建てとはここが違う!マンション生活をはじめる前に心得ておきたいポイントは?

①資産価値を維持するために一定のランニングコストがかかる

マンションでは、資産としての物件価値をより長く維持するために、定期的な清掃や修繕など、建物内の管理を継続する必要があります。その管理のために「管理費」「修繕積立金」として毎月の固定費が発生します。また、戸建てのメンテナンスは自主管理となるため修繕サイクルは自分で決めることができますが、マンションでは管理組合が定めたスケジュールに合わせて大規模修繕等が実施されます。なお、管理組合を運営する役員は輪番制で割り当てられることが多く、数年に一度のペースで必ず担当がまわってきます。

②駐車場料金は別にかかる

マンションでの住居費をシミュレーションする際に忘れてはいけないのが駐車場代。駐車場付きの戸建ての住居費は「駐車場代込み」となりますが、マンションの場合は駐車場を別途契約するケースが多く、敷地内駐車場の利用料は管理費と一緒に口座引き落としされます。また、同じ敷地内駐車場でも屋根付き・機械式など区画条件の違いによって月額利用料が異なるほか、駐車場がすでに満車となっているケースもあるため、駐車場契約を希望する場合は事前に料金と空き状況について確認しておきましょう。

③管理規約によって生活マナーが定められている

マンションでは管理規約によって入居者の生活マナーが定められています。例えば「早朝・深夜には大きな音を出さないこと」といった一般的なマナーに加え、「玄関ドアは(防犯の観点から)開けっ放しにしないこと」「玄関の前にゴミを出しっぱなしにしないこと」「バルコニーでバーベキュー等火気の使用をおこなわないこと」など、戸建てでは許される行為もマンションではマナー違反となる場合があります。ちょっとしたマナー違反が近隣住戸からのクレームにつながるので、入居前に管理規約の禁止事項をチェックしておきましょう。

戸建てからマンションへの「住み替え」の際には資金計画も含めたスケジュール管理が大切

戸建てからマンションへの「住み替え」を検討している場合は、「戸建ての売却」と「マンションの購入」の2つの作業を同時に進めなくてはいけません。特に、戸建ての住宅ローンがまだ残っている場合は、以下のポイントに注意しながら計画的に買い替えスケジュールを立てましょう。

●基本的には「戸建ての売却」を先行させること

戸建ての売却によって得た資金をマンションの購入費用の一部に充てることを想定している場合、まずは売却を先行させることが大切です。通常、戸建ての売却には時間がかかることが多く、成約に要する平均期間は10~12カ月と言われているため、スケジュールに余裕を持って計画を立てる事をおすすめします。なお、スピーディな売却を望むのであれば「中古不動産売却に実績があり、その地域に強い仲介会社を選ぶこと」「中古物件の価格相場を把握して適正な売値を提示すること」が大切です。

●もし戸建てが売れないままマンションの引渡し日が来てしまったら?

新築分譲マンションの場合は引渡し日が決まっているため、「戸建てが思うように売れないまま、先にマンションの代金支払いタイミングが来てしまった」というケースが発生することもあります。その場合は「つなぎ融資」を検討してみると良いでしょう。つなぎ融資というのは、借入期間が1ヶ月~1年程度の短期融資のことで、一時的な資金不足を解消することができます。ただし、住宅ローンよりも金利が高く、万一戸建ての売却活動が滞って返済期日までに返済できない場合は遅延損害金が発生します。いずれにしても「買い替え」の場合はスケジュール・資金力共にゆとりある計画が必要ですから、まずは住み替えを希望しているマンションの販売担当者に相談するなど、プロのアドバイスを参考にしてみましょう。

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