新年度に向けて考えてみよう! 子供部屋のつくり方
春の足音が近づいてくるこの季節、小学校や中学校への入学を控えたお子さんを持つご家庭では、「そろそろ子供部屋を用意してあげなくちゃ・・・」と考えているパパ・ママも多いのではないでしょうか?そこでジオプラットのテーマは「子供部屋のつくり方」について。子供部屋を用意するタイミングや、子供たちの能力を育む空間づくりの工夫をご紹介します。
リビング学習が定着しているいま、あえて「子供部屋」をつくるメリットとは?
近年はリビングスペースで宿題や勉強を行う「リビング学習」が増えています。そのため「子供専用の個室」のニーズは以前より減少しつつありますが、子供たちの成長過程で自立心を養うためには、やはり「子供部屋」の存在が欠かせません。では、あえて「子供部屋」をつくるメリットはどこにあるのでしょうか?
①「責任」を与えることで、身の回りのものを自己管理できる。
「自分の持ち物は自分の部屋で管理する」といった家庭内ルールをつくることで、身の回りのものを自己管理する責任感が芽生えます。また、子供の荷物を一か所にまとめることができるため、リビングが散らかりにくくなり、子供の片付け能力を育む効果にもつながります。
②「個人のプライバシー」を確保することで、他人のプライバシーを尊重できる。
子供が成長し「自分だけのプライベートな時間」を求めるようになるのはごく自然な流れです。親から少し離れて1人になれる場所をつくることで子供の自立心が養われ、同時に、他人のプライバシーを尊重することの大切さを感じ取れるようになります。
③「自分らしさ」を確立することができ、個性が徐々に確立される。
自分だけの空間が与えられると、子供はそこを「居心地の良いスペースにしよう」と努めるようになります。例えば、趣味の本に囲まれたり、好きなキャラクターのアイテムを並べてみたり…こうした部屋づくりの過程で子供の個性が徐々に確立されるので、パパ・ママは子供部屋の様子を観察することで「いま、子供がどんなことに関心を持っているのか?」がわかるようになります。また、自分の部屋が与えられれば親しい友達を招きやすくなるため、交友関係の幅を広げながら成長の階段を昇ることができます。
年齢によって異なる子供部屋の「目的」と「役割」とは?あらかじめ「ルール」を決めることも大事
子供部屋をつくるタイミングは「小学校入学」がきっかけとなるケースが最も多いと言われています。次いで「受験の準備」「子供からの希望」など様々なきっかけがありますが、「いつがベストか?」については子供の性格や志向によっても異なるため、親子でじっくり話し合って決定しましょう。また、子供の年齢によって子供部屋の「役割・目的」が違ってくるので、以下を参考にして「どのような目的で子供部屋をつくるのか?」についても話し合ってみると良いでしょう。目的を明確にすることで、子供自身も「個室を与えられる意義」や「個室を持つことの責任感」を自覚できるようになります。
《未就学期》
褒められることですくすくと能力を伸ばすことができる幼少期は、パパ・ママの目線を身近に感じながら過ごす時間が大事。そのため、独立した個室ではなく、リビングの一部を使って子供用のスペースをつくりましょう。親や兄弟姉妹と一緒に過ごす時間が子どもの好奇心を育みます。
《小学生低学年期》
ランドセルや教科書、体操服など、学校で使うものが増え、物理的にも子供部屋が必要になってくる頃。しかし、低学年のうちはまだ「一人で過ごすのが寂しい」と感じる子も多いため、勉強や宿題はリビングでおこない、子供が希望したら夜は一人で寝かせてみるなど、「自立を促すための準備スペース」として使いましょう。また、この時期にリビング学習をおこなうと、子供の苦手な科目のチェックを自然な流れで行うことができますし、兄弟姉妹がいる場合は相部屋で空間を共有することで、お互いの勉強意欲を刺激し合うこともできます。
《小学校高学年期》
この頃になると、友達の影響を受けて自立心が少しずつ芽生え、一人で寝るようになったり、子供部屋にこもって勉強する子も増えてきます。ただし、親子の距離がいつも身近に感じられるように「個室のドアはいつも開けておくこと」「ゲームをしたいときはリビングですること」など、子供部屋を使う際のルールをしっかりと決めましょう。
《中学校~高校期》
思春期に入ると、子供部屋は「自分だけの領域」としての役割が強くなります。仲の良い友達を呼んで子供たちだけで過ごす時間も長くなるため、子供のプライベートを尊重しながらも、家族のつながりを維持するための工夫が必要になります。「マンガは室内に持ち込まない」「〇〇時以降はスマートフォンをリビングに置く」などのルールを徹底し、勉強に集中するための個室環境を整えてあげることも大切です。
子供部屋をつくるときに気をつけたいポイントは「動線」
子供部屋をつくるときに最も注意したいのは、「玄関から子供部屋までの動線」です。例えば、玄関のすぐ隣に子供部屋をつくってしまうと、思春期に入ったとき、家族と一度も顔を合わせることなく帰宅後すぐに自分の部屋へ直行し、閉じこもったままになることが予想されます間取りによっては難しいケースがあるかもしれませんが、できるだけ「リビングを経由してから自分の部屋へ入る動線」を確保するよう心がけましょう。「親子が顔を合わせる動線」を確保しておけば、学校から帰ってきたときの子供の表情の変化を感じ取りやすくなり、友達を招いたときも「どんな友達と付き合っているのか?どんな遊びをしているのか?」といったことに目を配りやすくなります。
《その他、気を付けたいポイントは?》
- 褒められることですくすくと能力を伸ばすことができる幼少期は、パパ・ママの目線を身近に感じながら過ごす時間が大事。そのため、独立した個室ではなく、リビングの一部を使って子供用のスペースをつくりましょう。親や兄弟姉妹と一緒に過ごす時間が子どもの好奇心を育みます。
- 子供の個性を伸ばすために、カーテンやベッドカバーは親の趣味を押し付けず、子供の好みを反映させること
- アニメキャラなどが描かれた子供用学習机を喜ぶのは小学校低学年まで。中高生になっても長く使える家具を選ぶこと
- 青色系のLED電球を使うなど照明の色・明るさに注意すること(白熱灯は熱を発するため集中力が欠けやすい傾向があります)
《徐々に個室に慣れさせるには?》
「小学生になったら、絶対に子供部屋を与えなくてはいけない」といった子育てルールはありません。子供の様子を観察しながら「そろそろ子離れ・親離れがお互いに必要だな」と感じたタイミングで、徐々に個室に慣れさせていくと良いでしょう。このとき「まずは寝るときだけ個室で」など段階を踏みながら、子供が一人で過ごす時間を少しずつ増やしていくとスムーズです。また、子供が複数いる場合は、間取りの都合で各自の個室を用意できないこともありますが、間仕切り用家具や突っ張り式パーテションを使って空間をセパレートするだけでも、子供にとっては「自分だけの特別な空間」となります。こうして少しずつ子供たちの自立サポートをおこなっていきましょう。
いずれ子供たちは独立していくもの。「子供部屋が不要になったあと」のことも考えておこう
子供の自立心を育むために欠かせない子供部屋ですが、いずれ子供たちは大人へと成長し、親元から独立していくものです。そのため「子供部屋が不要になったあとのこと」を考えて間取り選びをするのも賢い方法です。近年は、各部屋を壁で仕切るのではなく「可動型ウォールドア」や「引き戸」を使って空間の可変性を高めたプランが登場。夫婦2人暮らしの時は広いリビングのある1LDKに→子供が生まれて個室が必要になったらウォールドアで空間を仕切って2LDKに→子供が独立して夫婦2人暮らしに戻ったら、再び1LDKに・・・と、大掛かりなリフォーム不要で部屋数を変えることができる間取りも人気です。また、空いた子供部屋を活用し、パパの長年の夢だった「男の書斎をつくる」、ママの念願を叶えて「趣味に没頭できる部屋にする」、子供の帰省や友人・両親が来たときの「ゲストルームにする」、趣味やスキルを生かして「自宅サロンや教室を開く」など、次のライフステージを見据えた空間づくりについても考えておきたいもの。「子供たちの成長期」と「子供たちの独立後」、2つの家族の生活シーンをイメージしながら子供部屋づくりを実践してみましょう。