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マンションの防災対策③いちばん困るのはトイレ!覚えておきたい災害時のトイレ対策

9月は防災月間。毎年防災啓発が高まるこの時期に、非常用持ち出し袋の中身の確認を行っている方も多いのではないでしょうか?飲料水や非常食のローリングストックについては家庭内での習慣が定着しつつある一方で、意外に見落とされがちなのが「トイレ」について。そこで今回のジオプラットでは、覚えておきたい「災害時のトイレ対策」についてご紹介します。

入浴や食事はガマンできても「トイレ」のガマンは難しい

地震や豪雨などの大きな災害が発生した場合、メディア等では水や食料の不足ばかりがクローズアップされがちですが、実は被災地で最も深刻な課題となるのが停電や断水によってトイレが使えなくなること。入浴や食事の回数に関しては多少の我慢ができたとしても、生理現象である「排泄」についてはコントロールが難しいため、仮設トイレの迅速な設置が不可欠となります。

しかし、内閣府の調査(※1)によると、東日本大震災のあと「仮設トイレの設置に4日以上かかった」と回答した自治体は66%にのぼり、中には1ヶ月以上の期間を要した避難所があったことが判明。トイレが長期間使えないということは、私たち現代人にとって想像を超えるストレスであり、プライバシー確保の難しさに加え、トイレに行く回数を減らすため水分摂取を控えることによる脱水症状、排泄の我慢によって起こるエコノミークラス症候群などを引き起こし、場合によっては死に至るケースもあります。

また、東京都防災会議が発表した「首都直下地震等による東京の被害想定※2」の中では、大規模災害後のライフラインの復旧見込みとして
●発災直後から約3日後・・・・・・徐々に停電が減少(計画停電は継続)
●約1週間後・・・・・・上水道の断水・濁水が段階的に解消
●約1か月後・・・・・・多くの地域で下水道の利用制限が解消
と想定されているものの、「マンションなどの集合住宅では水道供給が再開しても排水管の破損状況の確認が取れるまでトイレ利用は不可」となっています。つまり、大きな災害時には「自宅のトイレが長期間使えなくなること」を想定してあらかじめ準備をしておく必要があります。

※1:内閣府/避難所におけるトイレの確保・管理ガイドライン
https://www.bousai.go.jp/taisaku/hinanjo/pdf/1604hinanjo_toilet_guideline.pdf

※2:東京都防災会議/東京都の新たな被害想定
https://www.bousai.metro.tokyo.lg.jp/res/projects/default_project/_page/001/021/571/01nnnn.pdf

災害発生後、安全確認がとれるまで水洗トイレの使用は禁止

1981年以降の新耐震基準で建てられたマンションは、震度6強から7程度の大規模地震が発生しても倒壊・崩壊しない耐震設計になっています。そのため、災害時には自治体や管理組合からの避難勧告が発令されない限り、在宅避難を行うことが想定されます。そのため「災害時のトイレの使い方の注意点」を覚えておきましょう。

●停電時は流水トイレが使えなくなる

最近の新築マンションでは、非常用電源が確保されている物件もありますが、大規模災害によって電力などのライフラインが寸断された場合は、基本的にマンションの受水槽や給水ポンプの機能が停止してしまうため、住戸内の流水トイレは使えなくなります。

●トイレの使用は安全確認がとれた後で

仮に電力が復旧したとしても、地震による水道管の破裂や、マンション内の排水管の損傷、水圧低下による断水などの可能性があるため、すべての安全点検が完了するまでトイレの使用は控えましょう。同時に「トイレの便器周辺や天井・床面に水漏れがないか?」「天井や床下から水が垂れる音が聞こえてこないか?」「汚水の臭いがしないか?」など住戸内をチェックし、異常を発見した場合はただちにマンションの管理組合や管理責任者へ報告しましょう。

●排水管に異常がなければ停電時も手動で水を流すことができる

水道管や排水管の安全点検が完了した後、計画停電が継続している場合は、手動で水を流すことによってトイレが使えるようになります。オート機能がついている便器の場合はオート機能をオフにし、排水レバーを押しながら、風呂の残り湯などバケツ一杯の水(6~8リットル)を勢いよく流しましょう。一見排水レバーがついていないように見えるタンクレス型トイレも、多くの機種で手動レバーが内蔵されています。万一の災害時に慌てないようレバーの位置を確認しておきましょう。

●断水解除直後はエアーハンマーに注意

断水が解除された直後は、給水管内に空気がたまっているため、水圧によって圧縮された空気が「エアーハンマー」と呼ばれる衝撃を起こし、トイレの部品が破損してしまうことがあります。給水管にエアー抜きバルブが設置されている場合はバルブをゆるめて空気抜きを行うこと。また、バルブが見当たらない場合は、先にキッチンや洗面台などの蛇口をゆっくりと開けて、空気を抜いてからトイレを使うようにしましょう。

3日分の水や非常食に加えて「7日分の非常用トイレ」を用意しておこう

一戸建て住宅であれば、災害時に長期間トイレが使えなくなったときの対策として「自宅の庭に穴を掘り仮設トイレを作る」といったことも可能ですが、マンションではそれができません。そのため必ず「最低7日分の非常用トイレ」を用意しておきましょう。なお非常用トイレには2つの種類があります。

●携帯トイレ

携帯トイレとは、その名の通り持ち運びできるコンパクトサイズの非常用トイレ。小便専用の片手で使えるものや、既存のトイレ便器に広げて設置するタイプのものがあります。いずれも消臭力の高い凝固剤が入っており、使用後は汚物を固めて廃棄します。1回だけの使い捨てとなるため、災害時の備えの目安は「1日あたり5回分×人数分×7日分」。つまり4人家族であれば140個が目安となります。

●簡易トイレ

介護シーンでも使われている便座がついた組立式トイレで、繰り返し使用可能。一緒に目隠しテントを用意しておけば、バルコニー等に仮設トイレを設置することができます。組立式トイレには汚物を溜める袋が必要になり、汚物袋はゴミの収集機能が復旧するまで自宅保管しなくてはいけません。袋の容量や強度、防臭機能がそれぞれ異なるため、耐性が高く長期保存に適したタイプのものを選びましょう。なお、袋の容量の目安は「1日あたり5回分×平均排泄量300ml×人数分×7日分」。つまり4人家族であれば1週間で42リットル分の容量が目安となります。

また、携帯トイレや簡易トイレ以外にも以下の備品を備えておくと安心です。
・トイレットペーパー
・水の運搬用バケツ
・使用済トイレのゴミを入れる用の密閉できるゴミ箱や中身の見えない黒いポリ袋
・ゴミ袋(ゴミ収集が滞った場合に備える)
・アルコール消毒液やアルコール成分を含むウェットティッシュ(断水で手が洗えない場合に備える)

この機会に「マンション内の災害時トイレ対策」もチェック!

近年の新築分譲マンションでは、共用部に「防災倉庫」を設け、家庭内では用意しにくい大型防災備品を保管し、大規模災害への備えを行っている物件が増えています。

例えば《ジオ》では、発電機や担架のほか、敷地内のマンホールの上に簡易トイレを設置して汚物を下水道に流すことができる「テント付きマンホールトイレ」や、携帯トイレを防災倉庫内に備蓄しており、災害発生時にはマンション内の共助活動がスムーズに行えるようになっています。
※物件により防災備品の採用内容が異なります。

防災月間のこの機会に、「家庭内でトイレが使えなくなったらどうするか?」「自宅から一番近い仮設トイレはどこに設置されるか?」を確認した上で、「マンションの管理組合ではどのようなトイレ対策を想定しているか?」についても再度チェックしてみてはいかがでしょうか?

参考:<ジオ>の商品企画プロジェクト「ジオフィット プラス」

https://geo.8984.jp/geofitplus/mamoru/index.html


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