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マンション購入前に必ずチェックしよう!
ハザードマップの見方と、確認したい3つのポイントを解説

台風や線状降水帯の停滞、突発的なゲリラ豪雨など、夏は水害が発生しやすい季節。連日のように自然災害のニュースを耳にしていると「これから購入するマンションの周辺は大丈夫だろうか?」と不安に感じる方も多いことでしょう。こうした災害は、いつどこで発生するか?を正確に予見することは難しいものの、リスクを事前に把握することで「被害を減らす取り組み」につなげることは可能です。そこで、マンションを購入する前に必ずチェックしておきたいのがハザードマップ。今回のジオプラットでは「ハザードマップの見方」や「確認しておきたい3つのポイント」について解説します。

自然災害の被害軽減や防災対策の目的で誕生したハザードマップ

災害や危機管理対策の一環として、各自治体でハザードマップの作成が積極的に行われるようになったのは平成(2000年代)に入ってからのこと。そのきっかけとなった北海道有珠山の噴火(平成12年)の際には、ハザードマップに従って避難勧告が出され、噴火前に迅速な避難行動が行われたことから人的被害が一切発生せず、「ハザードマップ=災害場所と被害予測の地図化の重要性」が再認識されました。

その後、平成27(2015)年の水防法改正により、各市町村において「想定し得る最大規模の浸水想定を行い、避難方法等を住民等に適切に周知するハザードマップを作成すること」が義務化。さらに、令和2(2020)年からは、不動産契約時の重要事項説明の中で「水害ハザードマップにおける対象物件の所在地説明をすること」が義務化されました。つまり、ハザードマップの確認は、私たちが住まい選びを行う上で“知らなかった”では済まされない大切な項目に位置付けられているのです。

ハザードマップの種類と確認する方法は?

ハザードマップには大きく分けて8つの種類があり、各地域の危険度を地図上に表しています。

●洪水・・・大雨等で河川等が氾濫し浸水する恐れがある地域
●内水(ないすい)・・・大雨などで排水能力を超えて浸水する恐れがある地域
●高潮・・・台風等により高潮が発生し浸水する恐れがある地域
●津波・・・巨大地震等により津波が発生し浸水する恐れがある地域

●土砂災害・・・台風などにより地盤が変化し土砂災害が発生する恐れがある地域
●火山・・・火山活動が活発化した場合に噴石の落下や土石流などが発生する恐れがある地域
●宅地・・・大規模盛土造成地で地すべりやがけ崩れなど土地変動が発生する恐れがある地域
●地震危険度・・・大地震発生の際に揺れやすさ・建物倒壊・液状化等の危険度が高い地域

各ハザードマップは全国の市町村が作成し、自治体のホームページ上で公開したり、印刷物として各家庭に配布されていますが、国交省が運営する「ハザードマップポータルサイト」の中では、
●国土地理院が公開している「重ねるハザードマップ」
●各自治体が法令に基づき作成・公開している「わがまちハザードマップ」
の両方を確認することができるため、広域エリアの災害リスクをチェックする際に便利です。

確認しておきたい3つのポイントとは?

「項目がいろいろありすぎて何から確認すればよいのかわからない」という方は、まず「重ねるハザードマップ」でチェックしたいエリアの地図を開いてみしょう。日本地図を拡大・縮小スクロールするだけの簡単な操作のため、確認に手間はかかりません。

■ポイント①土地の特性をチェック

「重ねるハザードマップ」では、洪水・土砂災害・高潮・津波・道路防災情報・地形分類の6つのリスクを確認することができるようになっており、色分けされた地図を重ねるように表示していくことで、地域の危険度をまとめてチェックできるためとても便利です。

「購入しようとしているマンションのまわりは真っ白だった!」と安心するのではなく、生活圏となる周辺エリアについても広く確認し、近隣の地形の高低差や、海・川からの距離など「その土地の特性」について確認しましょう。土地の特性を知ると「その地域で予想される災害リスク」がより具体的に見えてくるはずです。

■ポイント②土地の災害リスクと避難場所をチェック

次に「わがまちハザードマップ」を開くと、各自治体のホームページへリンクし、さらに詳しい災害リスク情報を確認できます。自治体ごとにそれぞれ項目が異なりますが、中には日本語だけでなく多言語のハザードマップを用意している自治体もあります。また、マップ内には避難行動を行う際の「指定緊急避難場所」もわかりやすくプロットされているため、最寄りの避難場所をしっかりチェックしておきましょう。

■ポイント③避難経路の危険度をチェック

意外に見落としがちなのは「避難場所までのルートにどんな災害リスクがあるか?」という点です。いざ避難をしようとしても、道路が冠水して通行できなくなる場所や、がけ崩れが発生して行き止まりになる場所など、せっかく迅速な行動を起こしてもかえって危険を伴う場所があります。避難経路の災害リスクについてはハザードマップ上でも確認できますが、一番確実なのは実際に歩いてみること。大雨の時に外れてしまいそうなマンホールや側溝がないか?水没しそうなアンダーパスはないか?落石が起こりそうな崖はないか?など、ルートの危険度を目で見て確認しましょう。

なお、今回の記事では主に水害発生のケースを想定していますが、大地震や火山噴火といった激甚災害(※)の場合には、避難のタイミングや避難ルートの危険箇所が大きく変わってきます。「災害別の避難経路」を想定しながら確認しておくことも大切です。

※激甚災害:地震や風雨などによる著しい災害のうち、被災地域や被災者に助成や財政援助を特に必要とするもの。激甚災害法(1962年成立)に基づいて政令で指定される。

地元の方に聞いてみるという方法も、「リスクを知る」防災の第一歩

いかがでしたか?少々面倒だと思われたかもしれませんが、ハザードマップは「その土地の災害の歴史と特性」を知る上で重要な情報のひとつであり、土地のリスクを知ることは「家族を守ること」につながります。

仮に、せっかく気に入ったマンションがハザードリスクの高い場所にあった場合でも、「購入を諦める」という決断だけでなく、「ひとつ上層の階で購入を再検討してみる」「火災保険の水災特約に加入して補償内容を手厚くしておく」などの対策も可能です。

また、ハザードマップの確認以外にも、現地を訪れた時にはなるべく近くの商店等に立ち寄って、ご近所の方と会話をしてみましょう。「いま引っ越しを考えているのですが、昨年の大雨のときはどうでしたか?」などの質問してみると、ハザードマップ上ではチェックしきれない“地元の人たちのリアルな声”を聞くことができます。

いずれにしても「この地域にどんな災害リスクがあるのだろう?」と関心を持つことが防災の第一歩。土地のリスクを知った上で、備えるべき対策について家族で話し合ってみましょう。

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