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分譲マンションでペットと暮らす(前編) ~猫を飼う時の注意点や知っておきたいマナーとは?~

テレワークの導入を受けて自宅で過ごす時間が増えたことで、近年ペットを飼う方が増加しています。コロナ禍でペットとの暮らしに癒しを求めたり、ペットを通じて家族のコミュニケーションを深めたいと考える方も増えているのでしょう。2021年にペットフード協会が実施した調査によると、新たに犬・猫を飼い始めた「新規飼育世帯数」は、コロナ前の2019年と比較して犬が22%、猫が17%増加したことがわかりました。また、同調査では猫の推計飼育頭数が894万6000頭と、犬の推計飼育頭数(710万6000頭)を大きく上回り、8年連続で“猫派”が多い結果に。そこで今回のジオプラットでは「分譲マンションでペットと暮らす(前編)」として、マンション内で「猫」を飼う時の注意点や知っておきたいマナーをご紹介します。
※1:日本ペットフード協会 2021年全国犬猫飼育実態調査結果より

最近の新築分譲マンションはほとんどが「ペット可」物件

「集合住宅ではペットを飼えない」というイメージをお持ちの方も多いのではないでしょうか?しかし「ペット禁止」のマンションが多かったのは1990年代までのこと。不動産経済研究所が調査した「首都圏におけるペット飼育可能な分譲マンション※2」によると、調査を開始した1998年時点では、ペットを飼うことができる新築分譲マンションはわずか1.1%しかありませんでした。

しかし、2004年から、マンション標準管理規約内に「ペット飼育に関する事項」が盛り込まれるようになって以降、「ペット飼育可」を規約で定めた物件は約80%超まで急増。現在はほとんどの新築分譲マンションが「ペット可物件」となっています。ただし、各マンションごとに「使用細則」および「ペット飼育に関する細則」が定められているため、ルールに基づく飼育が原則となります。
※2:不動産経済研究所 首都圏におけるペット飼育可能な分譲マンション

ペット可マンションでも、管理規約の定めで「猫を飼えない」場合がある

「ペット可」を謳っているマンションでも、実は意外に多いのが「犬の飼育は可、猫の飼育は不可」とされている物件です。特に賃貸マンションの場合は、「フローリングや壁クロスなどが爪とぎで傷つけられる」「発情期におしっこのニオイがしみついてしまう」「猫砂をトイレに流して詰まりやすくなる」などの理由から、退去時の修繕費を懸念して、大家さん自身が禁止ルールを定めているケースが見られます。そのため、「猫と一緒に安心して暮らしたいから」という理由で賃貸生活を卒業し、「猫飼育OK」のマンションを購入する愛猫派も少なくないようです。

なお、一般的な新築分譲マンションの飼育細則では、犬・猫共に「体長40~50センチ以内、体重10kg以内(成獣時の大きさ)」と定められているところが多く、「飼育頭数は原則2匹まで」と多頭飼いを禁止する項目が盛り込まれている場合もあります。この細則に違反すると、訴訟や損害賠償請求などに発展することもあるので、大切な愛猫のためにも事前に細則をしっかり確認しておきましょう。また、ほとんどのマンションでは、管理組合などにペット飼育の事前申請が必要となりますので、事前に細則を確認しておくことも大切です。

バルコニーは要注意!マンションで猫を飼う時に「してはいけないこと」は?

マンションで猫を飼う際は、一戸建てとは異なる様々な注意点があります。特に気を付けたいのが「バルコニー」の存在です。

●猫をバルコニーに出さないこと

「部屋の中でずっと過ごしているのはかわいそうだから」と、猫をバルコニーに出したくなる気持ちはわかりますが、これは大切な愛猫のためにもNG。猫は好奇心旺盛な性格のため、鳥を追いかけて手摺に飛び乗り「落下事故」につながったり、隣接する住戸との隔て板をすり抜けて、マンション館内で「迷子」になってしまうことがあります。猫が自由に行動できる範囲は「部屋の中だけ」にしましょう。

なお、万一バルコニーに出てしまったときのことを想定し、手摺付近には猫が飛び乗りたくなるような物を置いておかないこと。隔て板に隙間がある場合は、すり抜け防止のフェンスなどを設置すること(ただし、防災上の避難経路を遮らないよう注意)など、脱走対策をとっておくと安心です。

●猫トイレをバルコニーに置かないこと

「ニオイが気になるから」と猫のトイレをバルコニーに設置するのもNG。お隣の住戸へ悪臭が広がったり、猫砂が飛び散って排水溝を詰まらせてしまうことがあります。

●バルコニーでブラッシングをしないこと

春や秋の換毛期には大量の抜け毛が発生しますが、バルコニーでのブラッシングをするのはマナー違反。風にのって他の住戸の洗濯物に抜け毛が付着したり、抜け毛のかたまりがバルコニーの外に落ちたりすると、近隣の方に迷惑がかかる他、管理組合から警告を受けることがあります。

●猫砂をトイレに流さないこと

猫のトイレに欠かせない猫砂。近年は水洗トイレに流せる「水溶性猫砂」などいろいろな種類が登場していますが、マンション内のトイレでは、水溶性であっても猫砂を流さないようにしましょう。マンションの排水管は一戸建てと違って複数の住戸で共用しています。万一詰まらせてしまうと、下階への水漏れなど大きなトラブルに発展することがあります。また、猫砂を「可燃ごみ」として処分する場合は、ゴミ袋を二重にするなどニオイ漏れがないよう配慮しましょう。

猫にとっても「居心地の良い住まい」にするために気を付けたいことは?

国際的な研究チーム「キャットトラッカー」が、6か国・約900匹の猫の行動範囲※3を調べたところ、大半の猫が「自宅から100メートル以内」の狭い範囲で過ごしていることがわかりました。もともと限られたエリアの中で暮らす習性がある猫は、“マンション生活との相性が良いペット”と言えます。しかし、猫にとってより快適な環境を作ってあげることは飼い主の大切な役目。以下のような点を工夫してみましょう。

●前の家で使っていたアイテムをしばらく使用する

引っ越しをすると、慣れない環境に警戒して暗い場所に閉じこもってしまう猫が少なくありません。猫は自分のニオイがついたモノがあると安心するため、新居では前の家で使っていた猫トイレや猫砂、爪とぎ、毛布などをしばらく継続使用しましょう。

●専用の爪とぎを設置する

クロスやカーペット、ソファなど、爪触りの良い場所を見つけて爪をとぐのは猫の習性。「専用の爪とぎ場所」を作り、そこで爪を研ぐ習慣をつければ建具や家具の傷みが少なくなります。最近はお洒落なデザインの「爪とぎスタンド」も多数登場しているため、インテリアデザインを損なうことなく設置できます。

●運動できる場所をつくる

室内飼いの猫はどうしても肥満傾向になるため「運動習慣」を身に着ける場所を作ってあげましょう。市販のキャットタワーのほか、自己所有の分譲マンションであれば、壁面に「キャットウォーク」を設置したり、猫が各部屋を自由に出入りできる「専用ドア」を設置したりと、リフォームによって“キャットフレンドリーなマンション”に仕上げることも可能です。

●防音対策をおこなう

ジャンプしたり、飛び降りたり…猫は上下移動が得意な動物です。階下に足音などの振動が伝わらないよう、キャットタワー周辺には防音マットを敷くようにしましょう。また、繁殖期にはオス・メス共に鳴き声が大きくなります。鳴き声が気になるようであれば、カーテンを遮音性素材のものに取り替えたり、窓ガラスに防音シートを貼るなどの防音対策もおすすめです。

●適切な場所に適切な数のトイレを設置する

猫のトイレは置き場所に困りがちですが、猫も人間同様に、静かな場所・換気性の良い場所・食事のスペースから離れた場所を好みます。マンション内では、換気しやすい洗面所や人間用トイレの中、お掃除しやすい廊下などがベストポジション。また、常に清潔なトイレをキープするために「飼育頭数+1」のトイレを設置しておくのが理想的です。

●お気に入りの場所をつくる

猫は室内の温度差に敏感で、夏はいちばん涼しい場所、冬はいちばん暖かい場所を自分で探します。猫の行動を確認しながら、お気に入りの場所に「猫ちぐら(ドーム型ハウス)」や「猫ベッド」を置いてあげましょう。
※学術誌「Animal Conservation」2020年3月 キャットトラッカー調査より

他の入居者への配慮は「ペットとの共生」に欠かせない大切なマナー

いかがでしたか?マンションは多くの世帯が暮らしている集合住宅であり、入居者の中には猫アレルギーの人や猫を怖がる子どももいます。常に周辺住戸への配慮をおこなうことは「ペットとの共生」を円滑にするための暮らしのマナーです。今回クローズアップしたポイントに注意しながら、愛猫とのマンションライフを楽しんでくださいね!
※次回「分譲マンションでペットと暮らす(後編)」では、マンション内で「犬」を飼う時の注意点や知っておきたいマナーについてご紹介します。

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