節電の冬を「色の温もり」で乗り切る?!
暖色インテリアを使って暖かい部屋づくり
2022年12月、この冬の厳しい電力需給に対応するため、冬期で7年ぶりとなる全国規模の節電要請が政府から発表されました。電力使用量が前年同月より3%減少した家庭には、電力事業者の節電プログラムに上乗せする形で、一ヶ月あたり1000円相当のポイントが付与されることになります(2023年1月分~3月分の電気料金において)。冬の節電を達成するためには「暖房の設定温度を1度下げる」「トイレ便座のふたを閉じて保温性を高める」「窓に断熱シートを張って寒さ対策を行う」など地道な努力が必要になりますが、中でも今回ジオプラットが注目したのは「インテリアの色の工夫」。暖色インテリアを使ってお部屋を暖かくするアイデアをご紹介します。
暖色には体感温度を約3℃上げる効果が!
体感温度の違いによって色彩を分類すると、大きく分けて3つのカラーがあることをご存知でしょうか?暖かさを感じる赤系の「暖色」、涼しさを感じる青系の「寒色」、そしてどちらにも属さない紫や緑は温度を感じにくい「中性色」に分類されます。
ちなみに、赤やオレンジ、黄色といった暖色を見ると、交感神経が活発になり、血液の循環が促されてカラダがポカポカしてきますが、実は、こうした色の効果は視覚だけで感じてるものではありません。色の正体は「光=電磁波」であり、色のエネルギーが波となって空間に伝わっているため、私たちは日ごろから「目」だけでなく「肌」からも色の温度の違いを感じ取っています。
例えば、目隠しをしていても、赤い部屋に入るとじんわり暖かく、青い部屋に入るとひんやり涼しく感じられるなど、暖色と寒色では体感温度に約3℃の違いがあると言われています。こうした点からもわかる通り、意外にも「色がもたらす温度効果」は大きいのです。
暖色インテリアの採り入れ方①大きな面を暖色に変える
インテリアに暖色を採り入れてお部屋の暖かさを演出する場合、最も効果的な方法は「大きな面」を暖色に変えること。たとえば、真っ白な壁紙をオレンジがかったウォームホワイトに変えるだけでも、印象はガラリと変わります。ただし、天井や壁の全面リフォームには大掛かりな工事が必要となるため、まずは部分的な演出から。
●カーテンを暖色系カラーに変える
●暖色系カラーのラグマットを敷く
●アートフレームやタペストリーなど暖色系カラーの作品を壁に飾る
といった方法で「大きな面の印象」を変えることからチャレンジしてみましょう。
なお、暖色系カラーは各色それぞれ色の主張が強くなるため、使い方を間違えるとお部屋の中が“色の洪水状態”になってしまうことがあります。お洒落なインテリア演出のためには「ベースカラー」「アソートカラー」「アクセントカラー」を決めた上でバランスの良いコーディネートを行いましょう。
【暖色コーディネート例】
●ベースカラー・・・お部屋の中で最も広い面に使う淡い色。例えば、ラグマット、ソファなどを「ベージュ」に。
●アソートカラー・・・ベースカラーと相性の良い彩度を高めたキレイ色。例えば、カーテン、ベッドカバーなどを「コーラル」に。
●アクセントカラー・・・空間を引き締める差し色。例えば、クッションやランチョンマットなどの小物類を「ビビッドな赤」に。
このように、大きな面(淡い暖色)→小物(濃い暖色)と濃淡のグラデーションでまとめるようにすると、暖色カラーを多用していてもスタイリッシュな印象になります。
暖色インテリアの採り入れ方②照明を変える
暖色インテリアを演出する上で欠かせないのが「暖色系の照明」。省エネ効果の高いLED電球にも様々なカラーバリエーションがあり、大きく分けて3つのタイプに分類されています。
●昼光色・・・寒色系の青っぽい光(勉強部屋やワークスペース向き)
●昼白色・・・暖色・寒色の中間の白っぽい光(外光に近い自然色、洗面室向き)
●電球色・・・暖色系のオレンジっぽい光(リビングや寝室などくつろぐためのスペース向き)
この3タイプの中から「電球色」を選ぶようにするとお部屋の暖かさがプラスされます。また、照明器具に関しては、天井との一体感があるシーリングライトよりも、ペンダント型・シャンデリア型・間接照明など「目に入りやすい位置」「人の動線に近い位置」に光源がある器具のほうが、暖かさを感じやすくなります。
なお、近年はレトロなフィラメントを再現した「エジソン電球」や、ろうそくの炎のように光が揺れる「ゆらぎ電球」など、電球本体のデザインで“レトロな暖かさ”を演出できるアイテムも多数登場しています。ホームパーティなどの来客時に、電球を一時的に取り換えれば、お部屋の雰囲気の変化も楽しめるため、様々なタイプの暖色系電球を用意しておくと良いでしょう。
暖色インテリアの採り入れ方③素材を変える
ここ数年、インテリア業界ではコンクリートやアイアン風の素材を多用したインダストリアル系の家具が人気を集めています。しかし、こうしたインダストリアル系の家具は無機質な素材感が特徴となっているため、実際に手で触れてみても冷やっと感じることが多いようです。ちなみに、木材の内部にはたくさんの空気層が含まれているため、一度暖まると温度変化が起こりにくく、コンクリートの約10倍以上、鉄の300~400倍以上の断熱効果※があると言われています。そこで、テーブルやダイニングチェアなど、普段触れる機会が多い大型家具については、なるべく木材を中心とした「天然素材」を選ぶようにするとお部屋の暖かさを演出しやすくなります。
他にも、天然素材をインテリアに採り入れる方法としては、
●ソファラグをムートン(天然羊毛皮)にする
●ベッドカバーをコットン(綿)やシルク(絹)にする
●カーペットをウール(毛織物)にする
などのアイデアが。天然素材はやや高価ではありますが、夏は涼しく、冬は暖かくなる特徴があるため、一度使いはじめると年間を通じて末永く愛用できます。前述の「ベースカラー」「アソートカラー」に合わせてお気に入りのアイテムを選びましょう。
暖色インテリアは「心地よさ」を演出してくれる効果も
いかがでしたか?インテリアの色や素材の工夫次第で「お部屋をもっと暖かくすることができる」ということがおわかりいただけたでしょうか?色の効果で体感温度が上がれば、冬の節電にも楽しくチャレンジできそうですね!また、暖色は寒色と比べると「時間の経過スピードがゆったりと感じられる心理効果」があり、暖色インテリアの中で過ごしていると精神的にもリラックスできると言われています。これから年末年始にかけて、クリスマスパーティや新年会など自宅へお客様を招く機会が増える時期。暖色インテリアで「暖かさ」と「居心地の良さ」を演出しながらゲストをおもてなししましょう。